こんにちは、元司書のシンカです
今回は知念実希人先生の『ムゲンのi』を読みましたので、その感想を書きます。
初めて読んだ作家さんでしたが読みやすく、医療とミステリ、ファンタジーが混ざった私好みの作品でした。
ある『奇病』にかかってしまった4人の患者さんのうち、主人公が主治医となる患者さんに関わっているうちに事件の真相に迫っていく物語です。
作中に文字の塗りつぶしがありますがこれは落書きではなく、作品に関係する事象です。文字をボールペンで塗りつぶしたような形になっていますが、いたずらではないので安心して読んでください。
医療ものはあまり得意ではないのですが、この本はファンタジーとミステリが融合しているので、最後まで飽きることなく読むことができました。
ぜひ、最後までご覧ください。
医療×ミステリ×ファンタジー?ジャンル分けが難しい世界感だがしっかりミステリ
『ムゲンのi』の著者について
『ムゲンのi』の著者は知念実希人先生です。
1978年生まれの方で、東京慈恵会医科大学卒業後内科医になっておられます。
2011年、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、『誰がための刃 レゾンデートル』(レゾンデートルに改題して2019年に文庫化しています)でデビューしておられます。
主に医療ミステリーを手がけ、『仮面病棟』は50万部のベストセラーとなっています。
2018年に『崩れる脳を抱きしめて』、2019年に『ひとつむぎの手』が続けて本屋大賞ベスト10入りを果たしています。
本作『ムゲンのi』も2020年に本屋大賞にノミネートされ、8位に選ばれています。
私は『ムゲンのi』(上)(下)、『リアルフェイス』『白銀の逃亡者』『放課後ミステリクラブ1金魚の泳ぐプール事件』『放課後ミステリクラブ2雪のミステリーサークル事件』を読んでいます。
気になっているのは『硝子塔の殺人』です。
『ムゲンのi』を読んだきっかけ
個人的な事情ですが、2023年に義父が亡くなり親戚一同で集まったのです。
その時に義兄嫁の趣味が読書でよく文庫を買っていることが明らかになり、ミステリ好きだということが判明しました。
「人の死ぬ本しか読んでないから偏ってるよ、幸せな本とか読んだことないわ」と言っていたので生粋のミステリ好きですね。まあこれはファンタジーだけど。
綾辻行人さん、中山七里さん、知念実希人さんが好きなようで、名作も結構読んでいる様子。
で、次に会った時5冊ほど貸してくれたのですが、これが最初の1冊でした。
こうして私は知念ワールドに足を踏み入れたのでした…。
『ムゲンのi』はこんなあなたにおすすめ
- ミステリ好きな人
- ファンタジー好きな人
- 医療系ドラマが好きな人
- 小動物が好きな人
- ピアノが好きな人
色んな要素が混ざり合って楽しい2冊です。
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『ムゲンのi』はAudibleでも楽しめます!
Audibleというアプリで聴く読書を使用しておりますが、小説の内容をそのまま朗読してくれるため、音楽を聴くように楽しむことができます。
メリット
- 月額1500円で12万冊以上が聴き放題になります。
- 倍速で聴くことができ、作業中でも音楽を聴くように本を読むことができます。
- アニメの声優さんが朗読してくれるので耳が幸せです。
- ムゲンのiのナレーションは宍戸留美さんです。
- 車の中で本を読むと車酔いしたりしますが、Audibleでは音楽を聴くように小説が読めるので車酔いの心配はありません。
- 紙の読書のように目を酷使しないので、目にも優しいです。
デメリット
- 話題になった本やメディア化された本はあるが、Audibleにない本もある。
- シリーズがすべてあるわけではなく、1はあっても2がないとかある。
- 作業しながら聴くので集中ができない。
- あまり聴かないときは料金が高く感じる
使わない場合はすぐ退会できるので、そこもポイントだと思います!
紙の本で購入すると1冊1700円ほどしますので、【12万冊聴き放題】はお得です。
『ムゲンのi』のあらすじ
医療系でありながら、ミステリ、恋愛小説、ファンタジー、家族小説など様々な要素を含む作品です。
眠りから醒めない<特発性嗜眠症候群(イレス)>という難病の患者を3人も同時に抱え、神経内科医の識名愛衣は戸惑っていた。
霊能力者である祖母の助言により、患者を目醒めさせつには、魂の救済<マブイグミ>をするしか方法はないと知る。
愛衣は祖母から受け継いだ力を使って患者の夢の世界に飛び込み、魂の分身<うさぎ猫のククル>と一緒にマブイグミに挑む。
次々とマブイグミを成功させる愛衣は、次第に患者のトラウマが都内西部で頻発する猟奇殺人と関係があることに気づく。
しかも、その事件は23年前の少年Xによる通り魔事件とも繋がっていた。
愛衣は難事件の真相究明に立ち向かう。出版社より引用
祖母がすでにファンタジーへの入口だった…。あれ、ミステリー?いや、これはしっかりミステリーでした。最近ファンタジーとミステリー混ざった小説多いですね!
『ムゲンのi』の登場人物
作者の知念先生は現役の内科医なので、その知識を活かして医療系ミステリの作品を多く手がけています。
- 識名愛衣(しきなあい)…主人公。神経精神研究所付属病院、通称神研病院の医師。神経内科医。ある奇病の患者を抱え、頭を悩ませている
- 杉野華(すぎのはな)…愛衣の1つ年長の先輩内科医。同じく、奇病の患者の主治医。
- 片桐飛鳥(かたぎりあすか)…特発性嗜眠症候群(とくはつせいしみんしょうこうぐん)通称『イレス』の患者。四か月も目覚めない状態。
- 佃三郎(つくださぶろう)…イレスの患者の一人。
- ククル…うさぎと猫を合わせたような不思議な生物。夢幻の世界で現れる
『ムゲンのi』の文字の塗りつぶしについて
特に未読のときに心配なのが、『文字の塗りつぶし』についてです。ムゲンのiには時々ボールペンで塗りつぶしたような文字が意図的に消えている部分があるのですが、小説の仕様であって、決して前の人が読んだあとのいたずらではありませんので安心してください。
そもそも私は借りた小説だったし物語の進行上仕方ない部分はあったのでムゲンのiの文字の塗りつぶしについては気にならなかったのですが、いたずらではなくすべての本にボールペンで塗りつぶしたような部分はあります。
患者のトラウマの核心に近づくとああなるんですよ、多分ネタバレではないはず。
ムゲンのiの文字の塗りつぶしは決していたずらではありませんので、安心してよんでください。
『ムゲンのi』上巻の感想
祖母から受け継いだユタの血筋でイレスの患者さんを救うとか、案内人の『ククル』という謎の生き物などファンタジー要素が強いです。
しかししっかり事件を追い、巷で流行っている事件と愛衣が遭遇した23年前の事件が繋がっていそうなところまでわかってきたので、興味深く読みました。
最近ファンタジーとミステリが混ざったような小説をよく読んでいる気がしますが、それに医療が加わるとまた違う味が出て面白いです。
下巻まで読みましたが、今回は上巻のみの感想を書きたいと思います。
Audibleも並行で聴いてた
Audibleでも聴いていたり、本で読みながら聴いたりしていましたが、個人的にはムゲンのiのナレーションの人があまりにもアニメ声だったので少し聴くのが辛かったです。個人的にはあまり合わなかったかな。
ほとんど本で読んでいました。
ただ、移動中でもアプリで読めるのはメリットかな、と思います。
ムゲンのiについて
最初は祖母の助言により、患者さんの夢の世界『夢幻の世界』に入っていくので漢字に直すと『夢幻の愛衣』なのかな、と思っていましたが読むにつれ、だんだん『ムゲンのi』の意味がわかってきます。
その意味もとてもよかったです。そういえばこれは家族小説でもあったんだな、と思うくらいでした。タイトルすごい。
夢幻の世界について
案内人のククルであるうさぎ猫と一緒に、患者さんの夢の世界へいくのですが、それぞれの夢の世界がファンタジーに満ちていてとても面白い。
上巻では片桐飛鳥さんの夢の中で松ぼっくりに追いかけられたり、
佃さんの夢の中では巨大なタコが自らの体を切ってタコ焼きにしており、それを夏祭りの屋台で販売していました。
「なんてコスパがいい商売なんだ、仕入れの必要ないし、アンパンマンみたいに毎回新しく作ってもらう必要がない!」と違うところで感動したのを覚えています。
夢って面白いよね
ただ、奥にいけばいくほど、その人の嫌だったトラウマが出てくるから、それを見ちゃうと本文にあるようにボールペンで塗りつぶしたような、文字を消した部分が出てくるんですね。
物語上必要な演出と言ったところでしょうか。
そんなところもおもしろいです。
マブイグミについて
魂のことをマブイといって、夢幻の世界に入り魂の救済をすることを「マブイグミ」ということは理解しました。お医者さんって大変だな…違うわ、これ霊能力者の仕事だから二足のわらじ。まるで作者の知念先生のよう…(違う)
愛衣と一緒にいるククルは愛衣のククルなので、患者さんひとりひとりのククルを見つけてマブイグミをしなくてはいけないので、けっこうな冒険だと思いました。
しかも解決しないと現実世界に帰れないというおまけつき。
ミステリはたいてい大変な設定だけど、これは大変の度合いが違う気がしますね。
飽きずに最後まで読めるのも楽しいからでしょう。
そして、現在街中で起こっている殺人事件と愛衣が幼稚園の頃に遭遇してしまった通り魔事件とはなにか繋がりがあるのでしょうか?
そこも含めて、今後が楽しみです。
『ムゲンのi』が好きな方はこちらもおすすめ
『ムゲンのi』が好きな方には、ぜひ相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠』をおすすめします。『ムゲンのi』と同じく本屋大賞にノミネートされたミステリ小説です。最後の結末が素晴らしく、びっくりすること請け合いです!
★★★★★
五冠獲得!★第20回本格ミステリ大賞受賞
★このミステリーがすごい! 1位
★本格ミステリ・ベスト10 1位
★SRの会ミステリベスト10 1位
★2019年ベストブックさらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補!
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。
Amazonより引用
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まとめ
- 主人公が女医であり、担当する難病患者を治していく
- 治す方法が霊能者である祖母から受け継いだ能力で行う『マブイグミ』
- 患者の夢の世界に入りこんで問題を解決する
- 案内人にククルという、うさぎと猫を足して割ったような生き物がいる
医療とファンタジー、ミステリの融合という珍しいジャンルながら、しっかり事件は解決に向かっているようなので新鮮な気持ちで読むことができます。
ファンタジー要素が強いので、あまり医療が強くないところも個人的に好きでした。引き続き下巻の感想も書いていきたいと思います。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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