こんにちは、シンカです。
今回は『金の角持つ子どもたち』を読みましたので、その感想を書きます。人が挑む姿は時にハラハラしますが、全力で頑張っている姿を見ると応援したくなります。
スポーツでも受験でも、取り組むフィールドが違っていても変わらずひたむきな姿にグッとくるものがあります。
頑張る子どもたちの頭には金の角が生えてくる。それは、希望の光。
サッカーを辞めて中学受験という過酷な試練に挑むことになった俊介の真意は?
塾の先生がよく言う『金の角』とは?
主人公の俊介が頑張ることで、お母さんにまで影響しているのを読んだときは、お母さんにもエールを送りたくなりました。
ぜひ、最後までご覧ください。
サッカーをやめて中学受験に挑む!ひたむきながんばりに感動する1冊
『金の角持つ子どもたち』の著者と概要
『金の角持つ子どもたち』の著者は藤岡陽子さんです。
1971年、京都生まれの方になります。
同志社大学文学部を卒業しておられます。
報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学へ留学しています。
慈恵看護専門学校を卒業しています。
スポーツ記者を経て看護師になり、それでも小説を書いた著書にはパワーがあります。
【2006年】「結い言」で、【第40回】北日本文学賞選奨を受賞。
【2009年】『いつまでも白い羽根』でデビュー。
著書に『手のひらの音符』『おしょりん』『跳べ、暁!』『きのうのオレンジ』『メイド・イン京都』『空にピース』など著書は多数あります。
私は初めて読む作家さんなので、今後他の小説も読んでいきたいと思っております。
『金の角持つ子どもたち』を読んだきっかけ
Twitterでお話させて頂いている方の読書ブログで読んだ記事でこの本を知りました。
主人公が私の甥っ子と同じ名前で、まさに今年中学受験の小学6年生なのでタイムリーだ!と勝手に盛り上がり、読んでみることにしました。
この本を教えてくれたくまりすさんの記事はこちらです!
話題の本を中心に読まれている方で、こんな本があるんだと私も参考にさせて頂いてます。
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『金の角持つ子どもたち』のあらすじ
『金の角持つ子どもたち』は、中学受験のために入塾する話です。
小学6年生の戸田俊介は、サッカーの地区トレーニングセンターに選ばれなかったことをきっかけに「サッカーをやめて塾に通いたい」と両親に打ち明けます。
日本最難関と言われる東栄大学付属駒込中学に行きたいというのです。
最初は反対していた父でしたが、母菜月の説得により俊介の中学受験を応援することに。
俊介の塾通いが始まり、専業主婦だった菜月も塾代を稼ぐためにパートを始めます。
でも、俊介には誰にも言えない秘密があるのでした…。
未来を切り開こうと奮闘する人々を描く、親子の成長小説です。
出版社から引用しているあらすじはこちらの記事でまとめていますので、こちらもご覧ください。
『金の角持つ子どもたち』の登場人物
『金の角もつ子どもたち』は俊介の頑張りによって周りの人にも元気づけられるヒューマンドラマです。
【戸田家】
- 戸田浩一(とだこういち)…俊介の父。車のメーカー勤務。
- 戸田菜月(とだなつき)…俊介の母。保育園のパートを始める。
- 戸田美音(とだみおん)…俊介の妹。生まれつき難聴で音が聞こえない。
- 戸田俊介(とだしゅんすけ)…主人公。小学6年生。サッカーをやめて中学受験に挑む。
【穂村家】
- 穂村倫太郎(ほむらりんたろう)…俊介の友達。一緒にサッカーをやっていたが、同じ塾に通い俊介と同じ学校を目指す。
【Pアカデミー】
- 加地将士(かじまさし)…塾講師。勉強を教えてくれるだけではなく、相談にも乗ってくれる。担当教科は算数。
- 加地直也(かじなおや)…将士の弟。中学で勉強についていけず、不登校になってしまう。
- 猿渡先生…担当教科は理科。わりと涙もろいところがある。
『金の角持つ子どもたち』の感想
『金の角持つ子どもたち』は主人公の俊介のひたむきな努力を見ているうちに、自分も頑張りたくなるような小説です。
正直、甥っ子の中学受験と被らなければ気にも止めなかったかもしれない小説ですが、感動するところがたくさんあって久々に泣きました。
私は中学受験を受けておらず公立の高校に行ったので、この時期から自分の夢を持って目標を立てて頑張れる俊介が確かに菜月の言うようにダイヤモンドのように輝いて見えました。
この小説は、第一章が母親の菜月視点、第二章は主人公の俊介視点、第三章はPアカの加地先生と視点を変えて語られて行きます。
それぞれが俊介の受験に対して心を砕く様子がとてもグッときます。
菜月について
菜月の過去については、うーんそういうこともあるかなあと感じました。
というのも、私の母親は4人姉妹の次女だったんですが、家計を助けるために働いて高校までしか出ていなかったからです。
妹の叔母さんたちは大学まで行って学費を私の母が払ったそうなので、少し複雑になりました。
でも昭和の話ですからね…。平成でこんなことあるかな。
うちの親ですら高校は出てますからね。事情があったんでしょうね。
ですから、俊介の夢を壊したくない応援したいという背景は納得できました。
家庭の事情はなかなか難しいですよね。それにしても菜月のお母さんゴーイングマイウェイ。
特に加地先生のよく言うセリフ、この小説のタイトルにもなった言葉ですが「頑張る子には頭に金の角が生えるのが見える」と言って生徒たちを励まします。
嫌な人が一人も出てこない、強いて言えば菜月がパートに出る時に文句を言いに来たお祖母ちゃんくらいでしょうか。
菜月がお祖母ちゃんに反撃したときはガッツポーズするくらい「よく言った!」と思ったし、その後保育士を目指してお母さんも勉強するようになったのはとてもよかったです。
俊介について
リアル甥っ子とは字も違うし、作中の俊介は最終的に高校受験まで終わらせているので、年齢も違います。
が、名前と状況が同じということで感情移入が出来たのでしょうか。
久しぶりに姉と連絡を取りましたが、リアル甥っ子も追い込みの時期で大変のようです。
しゅんすけも塾に行ってるけど、朝8時半から夜9時まで一日行ってるのよ。脳みそどうなってるのかしらね
と言っていました。リアルな声を聞くと状況が大変なことがわかりますね。
…頑張れよしゅんすけ…(私情)。
フルタイムで8時間働いてる大人より長い時間勉強してるんですね。
ところで作中で出てきた算数の問題、難しすぎて全然わからなかったんですけど?
問1 高さ5メートルの街灯の真下に、身長1メートル60センチの太郎がいます。太郎は毎秒1メートルの速さで、そこからまっすぐに歩き始めました。このとき街灯によってできる太郎の影の、先端の速さは毎秒何メートルですか。
236ページより引用
何これ…影の長さ求めるの?速さの問題はやったことあるけど、こんなの見たことないぞ。
点光源という単語も聞いたことありませんでした。
6年生で習わないような問題もやるの?クイズ番組で大人は子どもより賢いのかって試される理由がわかったわ。
今の小学生って頭いいですよね。小学生の時から英語習ってるから英語もペラペラだし。知ってる?
おばさんはねえ、英語は中学生からだったんだよ…。
塾の採点バイトやってると遠い目をしたくなります。
大人より長い時間勉強してて、子どもって大変だなー…と素直に思いますね。
宿題やりなさい!と親から怒られていた小学生時代を思い出しました。
俊介がいい子すぎてぱない。…
解説でも言ってましたが、途中で水を差す学校の教師やサッカー仲間に少しイラッとしました。でも普通は多分あっちのほうなんだろうなあ…。
加地先生がいてよかったです。
加地先生について
第3章は加地先生視点で話が進んでいきます。
加地先生のいう『金の角』は、頑張った子どもの頭に生えてくる希望の光。
猿渡先生と飲みに行ったときのセリフが印象的でした。
子どもたちに武器を与えたいからだ。
武器?
ああ。勉強ができるってことは、それだけで武器になるとおれは思っている。勉強は、これといって取柄のない子どもの拠り所になるんだ。親から受け継いだ、社会での立ち位置を覆せる。216ページより引用
加地先生には勉強についていけず引きこもりになり、心に傷を負った弟の直也がいました。
そんな直也も今では働くようになり、「中学生からの勉強を教えてほしい」というのです。
ここのシーンも泣けてくるシーンでした。
思えば後半はわりと泣きながら読んだ気がします。
受験の前の壮行会で先生がぼろ泣きしていたときは一緒に泣いてました(笑)
家族に見られなくてよかったぜ…。
結果はどうだったのか、それは本編をぜひ読んでから知ってください。
うっかり号泣もののラストでした。
普通こんなに頑張らないよ…。みんな合格!って言いたくなりますよね。
小学生なのに肩こりに悩んでるところとかそれだけでびっくりです。
加地先生が最後まで見守っていてくれてよかったと感じました。
まとめ
- 小学6年生の男の子がサッカーをやめて中学受験に挑む
- 頑張っている子どもの頭には金の角が生えてくる
- 加地先生スッキ
基本嫌な人は誰も出てこない物語なので、最後まで安心して読むことができました。リアル甥っ子と同じ名前ということで、余計に感情移入してしまったようなきがします。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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