『しろがねの葉』千早茜【第168回直木賞】の感想とあらすじ

5.0
時代小説
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シンカ
シンカ

こんにちは、シンカです。第168回直木賞が1月19日に発表されましたね!受賞者の方々、おめでとうございます!

 

今回は千早茜さんの歴史小説『しろがねの葉』を読んだので、紹介したいと思います。

図書館で借りたのですが、直木賞発表前(19日当日)に借りに行ったので普通に棚にあってびっくりしました。

直木賞候補あるじゃん、とか思ってたら受賞が決定したので借りておいてよかったなと感じました。

結論は、時代物小説ですが読みやすく情景が浮かぶような文章でサクサク読めました!

ただ、ときおり読めない漢字に遭遇したり専門用語で戸惑うこともありました

歴史小説や恋愛小説、お仕事小説でもあるので当時の状況を学ぶことができます。

 

▼こんなあなたにおオススメ

  • 歴史小説が好きな人
  • お仕事小説が好きな人
  • 恋愛小説が好きな人

 

 

時は戦国末期、石見銀山に嫁ぎ生涯を送ったウメと関わった男たちの信念

 


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『しろがねの葉』の著者について

『しろがねの葉』の著者は千早茜さんです。
1979年北海道生まれの方です。2008年『魚神』第21回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビューしておられます。また、『魚神』2009年に第37回泉鏡花文学賞も受賞しておられます。

2013年、『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞を、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞を受賞しておられます。

他の小説作品に『男ともだち』『西洋菓子店プティ・フール』『クローゼット』『神様の暇つぶし』『さんかく』『ひきなみ』やクリープハイプの尾崎世界観との共著『犬も食わない』など著書は多数あります。

私は初読みの作家さんなので、機会があったら他の作品も読んでみたいと思っています。
2023年1月19日に、【第168回直木賞】を受賞しており、小川哲さんの『地図と拳』とともにダブル受賞しておられます。
候補の時からどうなるか追っていたので、読めてラッキーでした。

 

 

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『しろがねの葉』を読んだきっかけ

きっかけは戦国時代の女性が主人公だったので興味を持ちました。

【第168回直木賞】の候補作として話題になっており、読了ツイートを頻繁に見かける作品でした。
歴史小説や漫画も好きでよく読むので、『しろがねの葉』も読んでみたいと思いました。
戦国時代の物語ということで戦の話とかあるのかなと気になっていたので読みました。
Twitterでもこの作品好きです!推します!と言っている方が多かったように感じます

 

 

 

 

 



 

『しろがねの葉』のあらすじ

『しろがねの葉』は、石見銀山に住む女性の一生を描いた大河小説です。

 

男たちは命を賭して穴を穿つ。

山に、私の躰に。

新境地にして渾身の劇的長編

眼をひらいておれ。

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と秘められた鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働きだす。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は意気阻喪し、庇護者を失ったウメは、欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されたーーー。

繰り返し訪れる
愛する者との別れ。
それでも彼女は
運命に抗い続ける。

出版社より引用

 

『しろがねの葉』の登場人物

『しろがねの葉』は石見銀山で銀を掘る男たちとその妻たちを描いた歴史小説です。

 

  • ウメ…百姓の村で生まれた少女。村から逃げ出し、ウメだけが石見銀山にたどり着いて山師の喜兵衛に拾われる。
  • 喜兵衛(きへえ)…天才山師。ウメを拾い、間歩で働く手子にする。
  • ヨキ…喜兵衛の付き人。他の男たちとは違うやり方でウメを守る
  • 隼人(はやと)…ウメより少し年上。鷹の目のような鋭い目をした少年。宗岡の手子。後に銀堀になる。
  • 龍(りゅう)…喜兵衛が温泉津で買った赤子。異人の血が混じっている。
  • おとよ…夫が亡くなり、ウメが面倒を見ることになった女性

【歴史上の人物】

  • 宗岡弥右衛門(むねおかやえもん)…ウメが銀山に辿り着いたとき介抱してくれた武家屋敷。石見銀山の諸運上を徴収する役人を務めた。現在は「まなびの宿 宗岡家」として、古民家を体験できる場となっている。
  • おくに…温泉津で出会った芸者。出雲阿国。

 

 

 

 

 

 

 

 

『しろがねの葉』の感想


『しろがねの葉』は、戦国時代のお仕事小説であり、恋愛小説です。

石見銀山について

島根県の世界遺産だ、という認識はあったのですが、行ったことない県の物語だったので検索しながら読みました。

仙ノ山の風景や炊事の匂いなど、文章だけで鮮やかに情景が浮かんできます。

私は坑道のことを『間歩(まぶ)』と呼ぶことも知らなかったです。

間歩で働く人たちは短命で【30歳まで生きてたらお祝い】なんてことも読みながら検索して知りました。

あまり恋人が死んでしまう恋愛小説は好きではないのですが、この小説は歴史上の背景がしっかりしているため、実際にこういうことがあったんだ、と実感を持ちながら読むことができたと思います。

銀堀たちの待遇がいいのも、現在で言う福利厚生や労災なんだろうなぁ…と思いながら読むとしょっぱい気持ちになります。

最初は手子(てご)という見習いのような雑用から始まり、柄山負(がらやまおい)という鉱山で働いたもののうち、鉱石を坑道外へ運び出す役を担当した者になり、最後に銀堀(かなほり)という、鉱山で働いたもののうち、坑道(間歩)の採掘や鉱石の採取(採鉱)を担当した者になるようです。

喜兵衛の就いていた山師は、鉱山の経営者だそうです。

手子とかはあれかな、武士のところで雑用してた小姓みたいな感じかな、と思いながら読みました。

初めて知る銀山用語や読めない漢字が多少あり、戸惑いながら調べました。

温泉津(ゆのつ)も実際にあった地名で、名前の通り温泉が有名であることもこの作品を通じて知ったので、島根県に行ってみたくなりました。

作中で喜兵衛が間歩の毒について説明してくれています。

あの闇に馴染む者はよう生きれん。長いこと潜れば、石粉を吸うて肺を病み、息を奪われ、青い唇で、咳に潰されるように死んでいく。(中略)

ヨロケや気絶え(けだえ)と言うとる。

 

この時はふーん、と聞いていたウメでしたが、やはり実際にその病気を目の当たりにすると辛いものがありました。

現代の成人病とは違う、あまりにも自然に銀堀たちがなる病気で、逃れられない労災でした。

 

 

 

 



 

ウメについて

百姓の村から逃げてきたウメ。お母さんが渾身の力で逃しましたが、間歩に入る男はともかく女は生き延びることができるので、お母さんの狙い通りに行ったんじゃないかな、と思います。

一家で逃げ切ることはできなかったけど僥倖と言えるでしょう。

ただ、銀堀の妻になって支えると言うことは短命の夫を持つ、ということでした

同じく銀堀の妻であった、ウメが面倒を見ることになったおとよも言っています。

石見の銀堀はの、よう生きんのよ。銀山のおなごは三たび夫を持つと言われとる

その言葉の通り、ウメも3人の男たちを愛します。

1人目は山師の喜兵衛

2人目は隼人

3人目は龍。

どの男たちも魅力的で、骨太な男たちでした。

喜兵衛にについて

ウメを拾った山師。

4つか5つの頃から保護者として一緒に仙ノ山の小屋に住んでおり、喜兵衛の手子として間歩で働かせていました。

ウメに取っては父親のような、師匠のような人だったので淡い初恋の人って感じかもしれません。

銅鑼声だったけどね。

後半喜兵衛がウメを想っていたことがわかるエピソードがあり、複雑な気持ちになりました。

ウメを諦めて石見銀山から出ていったのかな、と感じました。

 

ヨキについて

この人もウメを守る上で重要な人物です。喜兵衛の付き人のような立ち位置で、ウメを影から見守り危険があったら守る。

喜兵衛の小屋に住んでいて、喜兵衛がいなかったら代わりに銀堀たちに道具を準備していたりしていました。

でもごめん、いろいろあったんだけどこの方の名前のせいで、鋼の錬金術師がちらついて仕方ありませんでした。

時代も内容も全然別のストーリーだけどどこか似かよる不思議。

この方のおかげで、鋼の錬金術師に出てくるヨキさんについても思わず検索しまして。

概要が元アメストリス軍中尉であり元炭鉱経営者の中年男性。

ってなってるので、設定もわりと似てます。

もう途中から脳内でヨキさんがこの人に変換されて、ん?炭鉱経営者ってことはヨキさんあなた…山師だったの、とか変に変換されてました、申し訳ないです。

 

鋼の錬金術師を読み返したくなりました。

ユースウェル炭鉱かよ。(作品違う)

公式の壁紙画像(ヨキ中尉)です。

 

本当ね。結構な重要人物なのに。

 

ついでに隼人のことも、『鷹の目のように鋭い目をした少年』って表現だったので、思わずホーク・アイ中尉がちらつきました。

隼人は男の子…隼人は男の子…。

言い聞かせながら読んでましたね。

 

 


 

 

 

 

鋼の錬金術師も名作ですので、ぜひ読んでみてください。

隼人について

出会った頃から2人とも強かったので、ウメが隼人の肉を千切ったのは笑いました。

 

基本は隼人とウメの成長物語かつ、恋愛物語です。ウメが石見銀山に初めてやってきたときからの、手子としてのライバルでもありました。

男勝りな性格のウメに、年頃のおなごが山奥で1人でいたら危ないと心配してくれたりします

喜兵衛がしっかりウメにおなごはなんたるかを教えておけば、あんな目に遭わなくて済んだかもしれません。

後半はもう、読むのが辛いレベルでした。

最初から喜兵衛が説明してたけど、実際にその場面を読むと本当にきついです。

こんなことが昔本当にあったんだな、と思うとなおさら

それでも男が生まれれば間歩に行かなければならないし、夫だけではなく息子たちまで同じ病でというのはきついです。

ウメが間歩に入る男たちにマスク的なものを作って手渡すのが何とも言えなかったです。

シンカ
シンカ

100歳まで長生きしてね…

 

旦那氏
旦那氏

急にどうした

感傷的になってしまった最後でした。

龍について

龍については、イケメン感がビシビシと伝わってきます。

喜兵衛が温泉津で買った赤子で、少し大きくなって手子として働けるようになってきました。

異人の血が混じっており、目の色が浅葱色という、珍しい瞳の持ち主でした。

ヨキも外国から来た異人でしたが、ヨキはアジア系のようです。

おとよの娘、幸をウメが引き取っていたのですが、3行で恋愛模様がわかります。

 

「ええのう」と甘えた声で言う幸の頭を「土産を買ってくるよ」と龍が撫でる。囲炉裏の火のみの暗い室内でも、幸の耳が桃色に染まるのがわかった。縄を綯っていた喜一が気遣わしげにこちらを見ている。

幸→龍、喜一→幸、な見事なトライアングルですね!

龍…罪な男。

喜一と幸はその後どうなったんでしょうか。気になるところです。

その後の描写はありませんが、おそらく進展したのでしょう。

この物語を読んで感じたことは、銀堀たちは自らこの道を選んでおり、いやいや間歩に通っているわけではないこと

身体が言うことをきかなくなっても間歩に入って仕事をしたい、という銀堀たちの意気込みが凄かったです。

 

 

 



 

まとめ

  • ウメが石見銀山にたどり着き、そこで一生を送る
  • 銀堀たちは病に侵されることが多く短命である
  • 強い女性の生き様を描いた歴史小説

 

初めて読んだ作家さんでしたが、読みやすい文章で引き込まれる内容でした。

島根県の世界遺産という認識はありましたが、間歩も銀堀も知らなかったので検索しながら読みました。

当時の情景を学ぶことができます。

現代物より歴史背景がしっかりしているため、恋愛小説としても楽しむことができました。

たくさん購入して配りたいくらい名作だったので、ぜひ1度読んでみてください。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 


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