覘き小平次-江戸怪談シリーズ2作目のあらすじと感想レビュー

時代小説
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シンカ
シンカ

夫婦の形ってなんだろう?

 

そんな疑問を抱いた今回の小説でした。
今回紹介するのは、京極夏彦先生の『江戸怪談シリーズ』の2作目、『覘き小平次』という小説です。
なぜ2作目から読んだのかと言えば、前作の『嗤う伊右衛門』を10年ほど前に読んでおり、シリーズと知らずに3作目の『数えずの井戸』を購入したからです。
結論から言えば、シリーズとはいえそれぞれが独立した物語になっているので、この本を単体で読んでも何も問題はないと感じます。
京極夏彦先生の他のシリーズである京極堂シリーズや、巷説百物語シリーズのような鈍器、辞書と呼ばれる厚さではないので、初めて京極夏彦先生の小説を読みたいという方にもオススメできるシリーズです。
『江戸怪談シリーズ』とはなっておりますが、どの物語も幽霊や妖怪などのオカルト的な話ではなく、江戸の恋愛小説のような物語になっております。

 

お塚のツンデレっぷりがすごい!最初から最後まで小平次を気にする恐妻

 


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 『覘き小平次』の著者について

『覘き小平次』の著者は京極夏彦さんです。

旦那氏
旦那氏

タイトルは「のぞきこへいじ」と読みます。

1963年、北海道小樽市生まれの方になります。
1994年『姑獲鳥の夏』で作家デビューしておられます。
1996年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞を受賞されています。
2003年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木賞を受賞しておられます。
2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞、2016年遠野文化賞も受賞されています。2022年『遠巷説百物語』で第56回吉川英治賞を受賞しています。
他の著作に『絡新婦の理』『今昔続百鬼ー雲』(共著)などがあります。

『百鬼夜行シリーズ(通称:京極堂シリーズ)』や『巷説百物語シリーズ』『江戸怪談シリーズ』など、多数のシリーズで人気の方です。

小説1冊に対しての分量が多く、【1000ページ越え】の小説も多々あります。

私は『百鬼夜行シリーズ』、『巷説百物語シリーズ』『江戸怪談シリーズ』を追いかけています。

作家界の妖怪であり、鈍器や辞書などと言われるほどですが、絵本や通常の分量の小説もあります。

日本推理協会第十五代代表理事。世界妖怪協会・お化け友の会代表代行です。

 



『覘き小平次』を読んだきっかけ

なぜシリーズ第二弾から感想を書いているのか?
それは、ブログを始める10年ほど前に第一作目の『嗤う伊右衛門』を読んでいたからです。
最初シリーズだとは思わず、三作目の『数えずの井戸』を購入してしまったので、先にこちらの『覘き小平次』から読むことにしました。
江戸怪談シリーズとはいえ、物語が続いているわけではなく、前作のお岩さんが出てくる物語ではないので、『覘き小平次』単体でも十分楽しめる内容となっております。

京極夏彦作品は学生時代から【10年以上】追いかけているので、デビュー作から読んでいる私の好きな作家さんです。
妖怪に興味を持ったのも京極さんから興味をもったと言っても過言ではないでしょう。

再読して感想を書き直すのもまた違った感想が出て来て面白いかもしれないですね。

 

 

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『覘き小平次』のあらすじ

『覘き小平次』は江戸時代を舞台にした男女の恋愛小説です。

押入で死んだように生きる木幡小平次は、天下随一の幽霊役者。
ある時、旅巡業の声がかかるが、それは凝り続けた愛と憎しみが解き放たれる修羅の幕開けであった。
女房・お塚を始め、小平次の周りに蠢く生者らの欲望、悲観、執着が十重二十重に渦巻き絡み合い炸裂しーーやがて一つの異形の愛が浮かび上がる。
人間という悲しい華が圧倒的に咲き乱れる、これぞ文芸の極み。古典怪談に材を取った『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾。

Amazonより引用

 

『嗤う伊右衛門』で、斬新なお岩像を創出した京極夏彦が、ふたたび名作怪談を現代に蘇らせた意欲作。オリジナルは、1803年(享和3年)に出版された山東京伝の読本『復讐奇談安積沼(ふくしゅうきだんあさかのぬま)』である。
1853年(嘉永6年)には、歌舞伎狂言作家、河竹黙阿弥による『怪談小幡小平次』として舞台化もされたこの物語は、幽霊しか演じることのできない役者が、自分を殺した男と、裏切った妻を祟り殺すという怪奇談である。

一日中、押入れ棚に引きこもり、わずかの隙間から世間を覗く、売れない役者、小平次。妻のお塚は、一向にその不気味な性癖がおさまらぬ亭主に悪態をつく毎日である。
そんなふたりのもとへ、小平次の友人で囃子方の安達多九郎が訪ねてくる。禰宜町の玉川座が、次回の狂言怪談の幽霊役に小平次を抜擢したという。一座の立女形、玉川歌仙の依頼を受け、奥州へと向かう小平次。
しかしその興行の裏には、ある仕掛けが施されていた…。

京極は、自身の著作『巷説百物語』に登場する又市や事触れの治平らを絡めながら、死霊が主役の怪談劇を、生者が主役の愛憎劇へと見事に変貌させている。
小平次を嫌いながらも別れようとしないお塚、小平次を罠にはめる多九郎、小平次に父の屍を重ねる歌仙。本書は、死人のような小平次にいら立ち、自らの嫉妬、猜疑、憤怒を目の当たりにして人生を狂わせていく生者たちの物語である。
彼らが小平次の屋敷で繰り広げる凄惨なラストシーンからは、血生臭い匂いとともに、やるせない哀しみが押し寄せてくる。(中島正敏)

Amazonより引用

 

 

『覘き小平次』の登場人物

『覘き小平次』は江戸時代の俳優の物語です。

  • 木幡小平次(こはだこへいじ)…売れない幽霊役者。生きてる役をやらせれば全然演技ができないが、怪談などの幽霊役になるとまるでそのもののように観客を怖がらせることができる
    女房のお塚と二人暮らし
  • お塚(おつか)…小平次の女房。日がな押入から出てこない小平次を心から嫌だと思っている
    夫婦になって五年が経つ
  • 安達多九郎(あだちたくろう)…小平次の仕事仲間。朋輩。玉川座の興行に小平次を誘う
  • 玉川歌仙(たまがわかせん)…玉川座の女形役者。
  • 動木運平(とどろきうんぺい)…侍。

 

 

 

 

 

 

 

『覘き小平次』の感想


個人的には最後まで楽しめた時代物小説でした。
江戸怪談とは言っても物語に幽霊や超能力などのオカルト的な要素は一切なく、すべての登場人物は生きています。
死んでから化けて出てくるような物語ではありません。
そこは、いつもの京極夏彦氏のスタイルかな、と感じました。
文体はわりと読みやすく、初心者の方でもとっつきやすい内容かな、と感じます。

小平次について

前作の四谷怪談のお岩さん、次作の番長皿屋敷のお菊さんなどは有名な怪談だったので私も知っていました。

ですが、復讐奇談安積沼という怪談は今作で初めて知りました。

小平次という名前も今回で初めて知ったのですが、この怪談も歌舞伎になって演じられていたり、知名度はあるようです。

小平次はなんかこう、現代でいううつ病なんじゃないかな…と思います。

いろいろあったとはいえ、十年も連れ添った前妻が病で亡くなって、息子も亡くなっちゃったからねー…。

後妻と連れ添ってるとはいえ、あれだけ罵詈雑言言われながら生活してたらちょっと、心が折れるかも。

いくらツンデレとは言っても。
幽霊のようだけど最後まで人間で生きているので、普通の怪談とは違うかな、と感じました。

 

 

 



お塚について

彼女に関しては、最初から姉御肌な感じで楽しかったです。
嫌よ嫌よも好きのうち、とはこのことかしらと思ったほどです。
正直、また不倫かぁと思いましたが、まさかこんな大どんでん返しがある不倫初めてですね。
ちなみに江戸時代の不倫は『密通』、不倫相手は『間男』『情夫(いろ)』と言うらしく。余計な知識が増えた。(笑)

ですが、お塚の不倫の理由がめっちゃ小平次を意識するもので、そのせいで周囲に誤解を生んで嫌われ者になってしまったのでなんだかな、って感じですね。
物語は後半になるにつれ、面白くなっていきます。
多九郎が『お塚に惚れているわけじゃないけど抱きたい』っていうのは好きと変わらないってお塚は言ってたけど、お塚の『嫌いで仕方ないけど別れない』って言うのも要するに同じ意味なのでは…?と感じました。
複雑な愛の形というやつでしょうか。
気が強いから素直になれなかったのでしょうか。
最後まで読むとただのハッピーエンドです。
不倫がこんな展開になったのを読んだのはあまりなかったので、嬉しいどんでん返しでした。
ミステリーのどんでん返しとは少し違う意味ですが。
いやぁ姐さん、いい味だしてましたぜ…。素敵。

動木運平について

彼はもうめちゃくちゃとしか言いようがないですね。
人を殺す理由というのが。
「名前を間違えたから斬った」
「うるさかったから斬った」
ハエを落とすんじゃないんだから、あなた。
鬼畜っぷりが半端ないですわ。
何が琴線に触れるかわかりませんね。
関わらない方がいい人間ナンバーワン。
何気にクライマックスに関わりのある人なのでそれなりに掘り下げてありますが、幽霊より不気味かもしれないです。くわばらくわばら。

 



仇討ちについて

町人は仇討ちしないし、武士であっても令状がなければ勝手に仇討ちできないことは初めて知りました。
最近タイムラインで曽我兄弟の仇討ちの小説を見かけましたが、この小説の中でも曽我兄弟か、四十七士かと例にあげています。
玉川歌仙は役者なので町人以下だそうなので、勝手に仇討ちをすればお咎めを受けるということです。
誰でも「父の仇!」ってできるわけじゃないのね。
勉強になりました。

 

関連の高い作品『巷説百物語シリーズ』

『江戸怪談シリーズ』は物語自体に上下巻のような続き物の要素はなく、それぞれが独立した怪談をモチーフに描かれています。
前作の嗤う伊右衛門の登場人物が直接出てくるわけではありませんが、別シリーズとリンクをしているので、『巷説百物語』シリーズの登場人物が出てきます。
『覘き小平次』だけではなく、『嗤う伊右衛門』ともリンクしています。

こちらのシリーズを読んでおくと楽しめるかもしれません。
『巷説百物語シリーズ』も江戸時代の物語で、天保年間を舞台にしています。
晴らせぬ恨みなどを妖怪になぞらえて解決していく物語で、京極作品で人気のあるシリーズとなっています。

まとめ

  • 江戸怪談シリーズ2作目
  • 独立した物語なのでこれだけ読んでも楽しめる
  • 怪談かと思えば幽霊妖怪は一切出てこない
  • お塚のツンデレが半端ない
  • 別シリーズとリンクしている部分がある

最近不倫関係の男女のもつれのような小説をよく読んでいたので、これも江戸時代版か…と思ったらまさかのハッピーエンドで嬉しかったです。
小平次はほとんど話さない設定なので、京極作品にしては薄い小説ですので、楽しく読みました。
目次も演目のような仕様になっており、章の間も幕があったりとお芝居の台本を読んでいる感覚で楽しめたのでとてもいい作品でした。
久しぶりに京極作品を読みました。次の数えずの井戸も読みたいと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。


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