こんにちは。元司書のシンカです。
今回は『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』を読みましたので、その感想を書きます。
この本は『medium［メディウム］霊媒探偵城塚翡翠』に続くシリーズ2冊目となっておりますので、未読の方は順番を守って読むことを強くオススメします。
今回紹介するのは犯人視点から描かれた探偵ＶＳ殺人犯の構図ですが、最初から犯人がわかっているとはいえ騙されるという、もうわけがわからなくなってくる感じでした。
小説ならではのトリックだと感じましたが、この作品はドラマにもなっておりますのでどういう演出になったのかと気になるところではあります。
見どころは犯人と探偵の頭脳戦、騙し合いでしょうか。
結論は犯人も探偵もものすごく考えて行動してるんだな。という感想でした。
ぜひ、最後までごらんください。
誰が本物の城塚翡翠？パートナーの真も大活躍！
『invert 城塚翡翠倒叙集』の著者について
『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』の著者は相沢沙呼さんです。
1983年埼玉県生まれの方で、2009年『午前零時のサンドリヨン』で【第19回鮎川哲也賞】を受賞しデビューしております。
繊細な筆致で登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなどジャンルをまたいだ活躍を見せております。
『小説の神様』（講談社タイガ）は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化されました。
シリーズ前作の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は、【第20回本格ミステリ大賞受賞】、「このミステリーがすごい！」2020年国内編【第1位】、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング【第1位】、「2019年ベストブック」（Apple Books）2019年ベストミステリー、2019年「ＳＲの会ミステリーベスト10」【第1位】の5冠を手にされております。
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『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』のあらすじ
『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』は、探偵とパートナーが組んで犯人を追い詰める中編集です。
綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。
アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される………はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。
大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れられるのか？
ミステリランキング5冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集！出版社より引用
三話で構成されておりますが、ページ総数は【426ページ】と読み応えのあるボリュームでした。
『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』の登場人物
彼女は城塚翡翠なのか、それとも別の人物なのか…。
- 城塚翡翠（じょうづかひすい）…翠の目をした20代半ばくらいの美女。
霊能力があるらしい？
演：清原果耶 - 千和崎真（ちわさきまこと）…城塚翡翠の優秀なパートナー。家事全般や報告書の作成などを行っている。
演：小芝風花
今回はなりすましたり、名前を変えたりが多いお話だったので、誰が誰だかわからなくなる時がありました。
ドラマにするの難しそうな話だったけど実際にドラマ化されているので、本当に見ていなかったことが悔やまれます。
「探偵の推理を推理することができますか？」とか名言もちゃんと再現されてるんですね。ダイジェストだけでも見た気分になれます。くそう。
『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』の感想
個人的には楽しめましたが、人物がなりすましだったり入れ替わったりするので誰？ってなりました。
雲上の晴れ間について
これは、いい意味でも悪い意味でも、普通の事件でしたね。
前回のmediumが衝撃的だったから余計に失速感を感じました。
霊媒の話が出てきたときも、この子はなんでこんなことを言うようになったのかなぁ、と冷めた目で読んでいたくらいです。
前回の結末で翡翠の正体を知ったから余計にそう思ってしまいました。
とはいえ、古畑任三郎のような犯人がわかるスタイルで事件を突破していくのは面白く、最後まで楽しみました。
犯人もちゃんと考えてるんだろうけど、翡翠ちゃんの前では全然かなわないですね。
それにしても「わたしったら、わすれんぼさん」とか「わぁ、偶然さんですね」とか無駄に「さん」をつけるのは、あれも計算なのでしょうか…。
計算だとしたらあざとすぎますね。城塚翡翠…恐ろしい子！
ドッキリテヘペロ大成功！とかテヘペロこっつんこさんです、とかバリエーション豊かよね、と思ってしまったのです。
実に面白い。
今後のバリエーションが気になるところです。
泡沫の審判について
個人的には、小学校の先生の話が一番好きでした。
確かに殺されたほうも殺されたほうだけど、それでも人殺しはしたらだめですよね。
この話はずっと翡翠ちゃんだったけど、偽名でスクールカウンセラーをやってたんです。
なんで偽名なんだろう？もともと「白井奈々子」さんが来る予定だったのかな？
そこも説明が欲しかったところですね。
前作の高校に潜入した時は普通に本名で行ってたから余計に気になりました。
ここ、偽名の必要ある？
別に城塚翡翠でも問題なかったような気がするんですけど。
ちなみにGoogleで「白井奈々子」って検索すると、invertではなく音楽家の方が出てきます。「白井菜々子」さんだったから字は違いますね。
それにしても末崎先生の翡翠に対する突っ込みが面白かったです。
「はわわわ」などという悲鳴をアニメ声で上げるもんだから、男たちが喜んで彼女を気遣う。なんだよ、はわわわって、そんな声を上げる女がいるものか。
うんうん。前作で『同性だったら吐き気を催すほどのぶりっ子』って自分で言ってたけどこれ全部計算なの…？恐ろしい子！（2回目）
今の若い時はいいけど、軽く20年後とか同じ仕事をしていたとして、このキャラで通せるのかどうなのか…。路線を変更する時期が来るのでしょうか？
まあ、20年もこのシリーズやらないと思うけど。多分。
ドーナツ食べるときも「はわぁ」とか言ってたから
なにがはわぁだこの女。
とか言われてたし。計算じゃなくてもともとの性格ではないんか？
いくら計算とはいえここまでは出来んぞ…（私と比べるな）
どうでもいいんですが、ブクログかAmazonのレビューで、「翡翠のキャラが好きになれないときつい」みたいなことが書いてあって笑いました。
末崎先生が読者の代弁してて草生える。
いつもは男を落とすスタイルですが、女同士の戦いも面白かったです。
いいぞ、もっとやれ。
あとは翡翠が事件の真相を理解した時、エアギターを弾きながら
「ちゃーらーん」とかいうので、私の脳内で古畑任三郎のオープニングテーマに変換されていました。
途中から暗転効果までしてくれる真ちゃん、最高か。
わかってらっしゃる。
ですので、私はこの話が好きなのでしょう。
いいえ！いいえ先生！それは違います。よろしいですか。この世に正しい殺人なんてものはありません！正しさなんて、泡のように儚くて脆いものなんです！独善的な人殺しなんて、あっていいはずがない！
（中略）
いいですか！いいですか！人の命はたった一度きりです！あの世はなく、蘇りもなく、転生もないのです！たった一度！たった一度だけ！わたしたちの命は、とても儚く脆いのです！
だからこそ、わたしはひとりよがりの殺人を赦しません！人を殺してはいけないという社会を守り続けることでしか、人の命を奪う暴力を除外する術はないのです！
（中略）
そのルールを徹底して知らしめることでしか、わたしたちは殺人という暴力から命を護れないのです！
正義感の強い殺人っていうのも変な構図ですしね。
なかなか、見ごたえのあるシーンでした。
信用ならない目撃者について
私は刑事コロンボを見たことがないのでわかりませんが、こちらの作品は刑事コロンボの「ホリスター将軍のコレクション」、「指輪の爪あと」をオマージュしているようです。
俺刑事コロンボと古畑任三郎両方見てるけど、古畑任三郎って刑事コロンボそのままだよ
という旦那氏の証言もあり期待が高かったのですが、読むのは結構しんどかったですね。相手が手強かったからでしょうか。
香月先生とはまた違う強敵のような気がします。
霊能力に対しても看破してるし。
それにしても、靴下…靴下ねぇ。
洗濯物を片付けるときにハンガーまで片付けていないのはおかしい、パソコンのデータはご丁寧に全部消してあるのにって翡翠ちゃんは言ってました。
が、普段洗濯する身としては洗濯物は箪笥にしまうけど、ハンガーまで片付けることはしません。私なら。
むしろ自殺しようなんていうときに洗濯物なんて多分回さないし、それより何よりPCのデータ消去は重要になってきます。
洗濯物は見られても別に構わないけど、黒歴史やら何やらを見られるほうがきついですからね。
それこそ、『転生したらスライムだった件』のリムルじゃないけど、一般人なのに死ぬ間際に会社の後輩に頼んで「パソコンを中身を見ずに風呂に沈めてくれ」って遺言遺してるくらいですからね。
やましいことがある人のＰＣなんて、洗濯物よりも超重要ですよ。
むしろ洗濯物はどうでもいい。とか思ってしまったのです。
しかも普段毎日洗濯する人だったら余計にハンガーまで片付けないと思うのは私だけ？だって次の日に使うじゃん？
むしろ片付けられてたら明日洗濯しない気なのかしら…って逆に自殺を疑う。
私の個人的な意見なので、他の方はどうかわかりませんが。
洗濯物の時ハンガーまで片付けますかみなさーん？
片付ける人は片付けるのかなぁ…うん。
性格がここでバレてしまいました…わたしったらうっかりさん（ヤメロ）。
真ちゃんと翡翠の入れ替わりは、小説だとどこから入れ替わってるかわかりづらいです。入れ替わってる＆偽名も使ってる、となると名前が出てる地の文から「これは本当は誰なんだろう」とこんがらがってきます。
ドラマ見たい。ダイジェストだと真ちゃんが翡翠のふりしてるからやっぱり一発でわかりますね。
再放送…されないかな。
そしたら録画するのに。
感想からそれてしまいそうなので、今回の感想はここまでにしておきます。
まとめ
- mediumから続くシリーズ2冊目
- invertから読むと前作のネタバレになるのでmediumから読んでください
- 犯人が語り部の倒叙集
- 人物の入れ替わりが激しいのでわかりづらいところもある
今回は『medium［メディウム］ 霊媒探偵城塚翡翠』から続くシリーズ第二弾『invert［インヴァート］城塚翡翠倒叙集』の感想を書きました。
中編なので読みやすいかと思いきや意外とボリュームがあり面白かったです。
気になった方はぜひ『medium［メディウム］霊媒探偵城塚翡翠』から読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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