
こんにちは。元司書のシンカです。
今回は、朝井リョウ先生の爆笑エッセイ第2弾である『風と共にゆとりぬ』を読了しましたので、その感想を書きます。
小説を読みたいけど何から読んでいいかわからない、とりあえず読書体験してみたいという方、読書初心者の方にオススメです。
小説は他人の不幸などをモチーフに重たい話が多数ありますが、こちらのエッセイは何も考えず頭を空っぽにして、楽しい読書をすることができます!
1作目の『時をかけるゆとり』から爆笑でしたが、今回は朝井さんが社会人になり働き始め、そして兼業作家になり、専業作家になった経緯を面白おかしく書かれています。
『風とともにゆとりぬ』は、読書入門などに最適ですが、面白すぎて『電車の中で読めない本NO1』となっています。
気になった方はぜひ『時をかけるゆとり』から読んでみてください。
冒頭の「マーガレット・ミッチェルに捧ぐ」だけで笑える、腹筋崩壊エッセイ
『風と共にゆとりぬ』の著者について
『風と共にゆとりぬ』の著者は朝井リョウさんです。
1989年岐阜県出身の方です。早稲田大学文化構想学部を卒業しておられます。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で【第22回】小説すばる新人賞を受賞しています。受賞作がベストセラーとなり、現役大学生作家として注目されています。
2013年、『何者』で【第148回直木賞】を受賞しておられます。
他の著書に『スペードの3』『武道館』『世にも奇妙な君物語』『何様』『チア男子!!』『星やどりの声』『正欲』『死にがいを求めて生きているの』『少女は卒業しない』『どうしても生きてる』など著書は多数あります。
また、エッセイでは三部作出しており、『時をかけるゆとり』『風と共にゆとりぬ』『そして誰もゆとらなくなった』があります。
今回紹介するのは『風と共にゆとりぬ』です。
『風と共にゆとりぬ』を読んだきっかけ
前作の『時をかけるゆとり』が非常にぶっ飛んでいて面白く、こんなに面白いものが三部作あるのか!とわくわくしながら読みました。
朝井リョウさんは『何者』しかきちんと読んでいませんが、小説もたくさん出しているので他の小説もたくさん読みたいです。久々のヒットでした。
個人の体験談は読んでいて楽しいです。
『風とともにゆとりぬ』はどんな本?あらすじは?
歴史ある洋書のような装丁からは想像つかないほど、軽い内容。
キャッチコピーが『電車の中で読めない本NO1(になる予定)』『1冊で100回笑える、腹筋崩壊エッセイ!』となっており、最初から飛ばしている印象です。
第一部、第二部、第三部と三章からなっております。
- 第一部『日常』
- 第二部『プロムナード』
- 第三部『肛門記』
それぞれが朝井リョウさんの体験談で実際に起こったことなのでしょうが、非常に面白く、声に出して笑うほどのエピソードがあります。
ちなみに書評などでは本から学べることを書くとよい、とよく言います。
が、この『風とともにゆとりぬ』では読んで得るものは特にナシ!!がキャッチコピーのため、ひたすら笑うだけの楽しい読書になります。
小説などとは違い、学校の読書の時間には不向きかもしれません。
大笑いなので。
『風と共にゆとりぬ』の感想
個人的には爆笑しながら読んでいました。さすが朝井リョウさんです。
面白さに磨きがかかっています。
お腹の弱い作家さんとして記憶に定着されました。
各部から印象に残ったエピソードの感想を書いていきます。
第一部 日常について
第一部は12のエピソードで綴られています。
印象に残ったエピソードといえば、「バレーボールと私」でしょうか。
これにはビーチバレー編と体育館編があります。
朝井さんは高校時代バレーボール部に入っていたようで、意外と運動するんだな…。と思いました。
勝手な想像で運動あんまりしない方なんだろうな、自営業では家から出る必要もないし、と思っていたんです。
朝早く起きて海辺へ行き、ビーチバレーをやってるなんて少し見る目が変わりました(失礼)。
ビーチバレーの大会に出るのに練習しないで行くとか、どんだけ。
メンバーが寝坊したりやる気なかったり、行き当たりばったりな展開に大笑いでした。
うん、D子ちゃんたちには怒ってもいいと思うよ。
「行くことは行くけど試合には出たくない」とかふざけたこと言ってる人とよくチーム組むことになったね?
あげく練習に参加しないでレストランに行って試合間に合わないとか、
それ、怒ってもいい案件だよ?
ついていった方もついていった方だし、連れて行った方も連れて行った方だと思う。
なぜ受付のおばちゃんの連絡先を聞いておかなかったんだ!
時をかけるゆとりの時の、『旅行を失敗するエピソード』を思い出した。(笑)
他人の欲しいものを推理して喜ぶものを贈るってすんごく難しいですよね。
私も、旦那と付き合っている時にクリスマスプレゼントとか贈ったんですが、喜ばれたためしがありません。
誕生日のプレゼントとか友人に相談したりしたんです。

彼氏へのプレゼント?そうだな、私は旦那へパンツとか下着とか、そういう必要なものなら使うから買ってあげてるよ

なるほど…パンツ。
こうしてユニクロに走った私は、トランクスの下着を大量に購入し、ドヤ顔で彼氏(現旦那氏)に渡しました。

パンツ?昨日自分でまとめ買いしたからいらん
撃沈。くっそ、友人にアドバイスを求めた時間を返せ…!
とりあえずパンツならのちのち使うからともらってくれた彼氏(現旦那)にはありがたい気持ちです…。
クリスマスプレゼントにスリッパを渡したこともありました。

……なんでスリッパなの?

実用性のあるものがいいと思って

…へー
これも空振り。しかもスリッパを贈ったの、これだけではなく。リクエストされたものもありました。

動物のもこもこしたスリッパが欲しい
一応悩んで探したのですが、私には見つけられず、犬のぬいぐるみとスリッパ(もこもこタイプ)をプレゼントしたのです。

どうしてこうなるんだ?思ってたのと違う
人に贈り物するって、難しいですよね。
うんうん。だからね、朝井さんが大好きなシンガーソングライターへワサビを7種類贈っちゃっても、同じ名前の人のブログを見て勘違いしても、「ああ…」って無駄に共感出来ますね。わかるわかる。
それは初めて知りました。
文化の違いかなぁ。3日経って「シャワー使いたい、すごく」って主張しないと入れないのかい。洗濯は頻繁にするんですかねー。お風呂に入れば洗濯が出るから、洗濯をやると思うけど、お風呂入らなければ洗濯もあんまりしないだろうから…。
毎日の服はどうしてるんだろう?
タオルに病原菌がもしついていたとして、ホームステイしてる外国人が使ったタオルなんて普通に洗濯すると思うけどな…。
まさか洗濯しないタオルを次のカナダ人が使うわけではあるまい。
そんなに罪悪感を持つこともないんじゃないかなー仕方ないよね、そもそも3日シャワーすら浴びてないんだから。洗濯の描写も入れてほしかったぜ…。無理か。
あとは柚木麻子さんが意外と楽しい方だと知ったので、作品も読んでみたいと思いました。
朝井リョウさんがさくらももこさんのエッセイ大好き!尊敬!って言ってて妙に納得しました。
第二部 プロムナードについて
第二部は比較的まじめな文章が多かったように思います。
日本経済新聞で2015年下半期の半年間連載で掲載されたコラム21編が収録されています。
真面目な文章のはずなのに、なぜか面白いという不思議。
下にある現在の一言が台無しにしている部分もあるのでしょうか。
「書いてよかった」の星やどりの声を高校生が実写舞台化する話は印象に残っています。
第三部 肛門記について
前作の感想でも、『それにしてもこの人、お腹とトイレの話が多いな』ということを書きましたが、今回は章でまとめるほどの量でした。
それまでの第一部・第二部では出て来てもせいぜい「いんきんたむし」くらいでしたが、今回は大ボリュームです。
覚悟して読まなければなりません。
幸いなことに、今回は家で読んでいるため、誰にも爆笑しているところを見られることがないという安心感まで得ています。
何が来ても驚かない、大丈夫。
尿道カテーテル。
破壊力抜群すぎてやばいフォントと太字。とてもかの名作なテンションで読めるフォントではありません。
わざわざ名作風にフォントを変えたことまで伏線なのでしょうか。
やるな…。
ここが家でよかった。
いえ、もちろん朝井さんが病気になり入院したとのことで、笑っちゃいけない場面なのでしょうが、笑っちゃいけない場面なのでしょうが(2回言った)ホント破壊力半端ない文字フォントです。
それまでの経緯がうっかりどうでもよくなってしまいます。
ただ、若輩者の言いたいこととしてはひとつあります。
病気を4年も放置するな。
違和感を感じた時点で病院に行かないと、のちのち大変なことになるのですよ。
私が以前目の病気になったとき、自己判断で病院に行かなくて悪化したことがあるので、病気を放置しておいてもろくなことはありません。
朝井さんもほら、違和感があった時点で病院に行けば多分痛みで奇声をあげることはなかったんじゃないかな…。
理由はね、普通に「体調不良」でいいと思うんですよ。
我慢しながら仕事してるときの写真までご丁寧に載せてて吹きました。
あまり後半まで書いてしまうと最後まで突っ込みを入れてしまいそうなので、この辺にとどめます。
まとめ
- 爆笑エッセイ第2弾『風と共にゆとりぬ』の概要と感想
- 三部に分かれて構成されている
- どれもおもしろいが、第三部の「肛門記」は破壊力が半端ない
- 腹筋崩壊なので、家で読むことを強くオススメする
これから読んでもとくに問題はないと感じますが、前作の後日談のようなエピソードもあるので、順番通りに読んだ方が話が通じやすいかもしれません。
私もお腹が弱い方ですがここまでではないので、大変だなァ…と思いながら読んでました。バレーボール中にトイレに行きたくなったとかの話は聞かないから、緊張したりするとダメなタイプなんでしょうね…。
他の小説ももっと読みます!と感じた腹筋崩壊なエッセイでした。
疲れたときに何も考えずに読むのがいいかもしれません。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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