『シャーロック・ホームズの凱旋』のあらすじ感想とレビュー 

3.5
ファンタジー
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シンカ
シンカ

こんにちは、元司書のシンカです

今回は森見登美彦先生の『シャーロック・ホームズの凱旋』を読了したのでその感想を書きます。

例え原作の『シャーロック・ホームズの冒険』を読んでないとはいえ、かの名探偵シャーロック・ホームズがイギリスのロンドンにいることくらいは知っていました。

それにしても、シャーロック・ホームズとその仲間たちがほぼ京都にいるという不思議ワールドです。

しかし作者は森見登美彦先生。このくらいでビビっていては最後まで読了できない
三章あたりでようやく物語の舞台である『ヴィクトリア朝京都』なる場所に慣れてきましたが、また四章で大きく物語が動きます。
シャーロック・ホームズだから探偵小説だろうと思って読んでいるとなんだか物足りないと思いますので、この物語は最初から『異世界ファンタジー』だと思って読むと最後まで楽しめるかな、と感じます。
ぜひ、最後までご覧ください。

 

舞台は『ヴィクトリア朝京都』和風と洋風が混ざっている世界観


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『シャーロック・ホームズの凱旋』の著者について

『シャーロック・ホームズの凱旋』の著者は森見登美彦さんです。
1979年、奈良県生まれ。作家。京都大学在学中に執筆した『太陽の塔』で2003年、第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューしておられます。
2006年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞、第137回直木賞の候補となり、翌年の第4回本屋大賞の2位を獲得しています
その後、10年『ペンギン・ハイウェイ』で第31回日本SF大賞受賞、14年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞受賞、17年『夜行』で第7回広島本大賞受賞、19年『熱帯』で第6回高校生直木賞受賞したほか、映像化・舞台化された著書も多数。

私は『有頂天家族』『有頂天家族二代目の帰朝』『四畳半神話体系』『四畳半タイムマシンブルース』、『夜は短し歩けよ乙女』『シャーロック・ホームズの凱旋』を読んでいます。四畳半神話体系や有頂天家族、夜は短し歩けよ乙女はアニメも履修しています。

これからも読んでいきたい作家さんです。

 

 

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『シャーロック・ホームズの凱旋』のあらすじ

一章から四章までは『ヴィクトリア朝京都』という不思議ワールドの住人たちが、探偵をしたりスランプになったり、別の異世界に飛んだりするファンタジーです。
これは探偵小説の皮を被ったファンタジーなので、ワトソン君とのバディで謎解きをする小説を目当てにしていたら物足りないかもしれません。
しかし、最初から『異世界ファンタジー』として読んで行けばとても楽しく読了できます。

「天から与えられた才能はどこへ消えた?」

舞台はヴィクトリア朝京都。
洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?

—–
この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。
いつの間にか迷いこんだその舞台裏において、私たちはかつて経験したことのない「非探偵小説的な冒険」を強いられることになったわけだが、世の人々がその冒険について知ることはなかった。スランプに陥ってからというもの、シャーロック・ホームズは世間的には死んだも同然であり、それはこの私、ジョン・H・ワトソンにしても同様だったからである。
シャーロック・ホームズの沈黙は、ジョン・H・ワトソンの沈黙でもあった。
—–(本文より)

謎が謎を呼ぶ痛快無比な森見劇場、ついに開幕!

目次
プロローグ
第一章 ジェイムズ・モリアーティの彷徨
第二章 アイリーン・アドラーの挑戦
第三章 レイチェル・マスグレーヴの失踪
第四章 メアリ・モースタンの決意
第五章 シャーロック・ホームズの凱旋
エピローグ

Amazonより引用

 

 

 

 

『シャーロック・ホームズの凱旋』の登場人物

舞台は日本風でありながら、登場人物はすべてイギリス人となっております。
慣れるまでに大変でした(笑)

  • シャーロック・ホームズ…名探偵。現在は深刻なスランプに陥っている
  • ジョン・H・ワトソン…ホームズの助手兼記録係。シャーロック・ホームズの探偵小説を書きながら下鴨で診療所を開き医者をしている
  • アイリーン・アドラー…ホームズの家の向かいに越してきた探偵
  • メアリ・モースタン…ワトソンの妻、アイリーン・アドラーの助手
  • ジェイムズ・モリアーティ…数学の大学教授
  • レイチェル・マスグレーヴ…洛西のハールストン館の令嬢
  • リッチボロウ夫人…心霊主義者の怪しい易者。マスグレーヴ嬢の事件に深く関わる
  • ハドソン夫人…寺町通り221Bの大家。シャーロック・ホームズとアイリーン・アドラーの大家でもある

 

シャーロック・ホームズのウィキペデアで登場人物見てたら、アイリーン・アドラーが名探偵コナンのキャラの灰原哀ちゃんの名前の由来だと知って俄然ときめきました。

いずれ原作の方も読みたい。
ハドソン夫人はいるみたいだけど、リッチボロウ夫人の名前は見当たらなかったですね。面白い。

 

 

『シャーロック・ホームズの凱旋』についての感想



雰囲気はイギリス、登場人物もイギリスだけど舞台は『ヴィクトリア朝京都』という不思議ワールドなので、とてもちぐはぐな感じで読み進めました。
そうだ…。この本の著者はモリミー。モリミーなら舞台は京都でしょう。
ですが、ここはどうやら日本ではない様子なのです。『ヴィクトリア朝京都』となっているのですから。
本当に日本風ロンドンという感じでした。ぶっちゃけ読みにくい。字が小さいし。
読了できる自信がない。
しかしながら、ここまでして読んだ本全ての舞台が京都であるそのこだわりようはなんなのでしょうか。
ここまで無理やり京都にする必要はあるのか、ということです。
ロンドンじゃだめなのか。なんだか和食と洋食を一緒に味わっているような、ケーキと大福を同時に食べているような不思議な感覚ってXのフォロワーの文月さんが言ってましたが、まさにそのとおり、うまいこと言うなあと感じましたよ。
人の感想読むのもめっちゃ好きです、はい。



ヴィクトリア朝京都について

ヴィクトリア朝京都とは言っても根がイギリス人のせいか作中の飲み物は紅茶。紅茶とスコーンの描写がよく出てくる。コーヒー飲む人誰もいない。
日本のミステリーってコーヒーや麦茶、お酒を飲むイメージだけど、この『シャーロック・ホームズの凱旋』については終始飲み物は紅茶。多分紅茶以外の飲み物出て来てないのかな、と思う。
一貫して飲み物は紅茶だった。
しかし場所は京都であるため、たまに馴染みのある言葉も出てきます。
そう、『夜は短し歩けよ乙女』で出てきた詭弁論部です
なんと、シャーロック・ホームズが詭弁論部に入っていたというのです。

嘘だろ。

『夜は短し歩けよ乙女』を読んでおいてよかったと感じました。

 

シャーロック・ホームズについて

寺町通り221Bに住んでいます。
本物はベーカー街らしいけど、読んでないからオールオッケー。
とか思っていたら後半でロンドンと繋がったのでびっくりでした。
なるべくネタバレしないように頑張りたいけど無理かもしれない。

原作の『シャーロック・ホームズの冒険』を読んでないから何とも言えないんだけど、登場人物はすべてワトソンの愉快な仲間たちらしい。
ただ、この世界のシャーロック・ホームズは深刻なスランプに悩んでおり、事件をまったく解決できない。それなのに事件だけは引き受けて解決しないので『被害者の会』なんぞができている。
それでも途中で起きたハールストン館のマスグレーヴ嬢行方不明事件があまりにもホラーチックで竹取物語の伝説をもとにした部屋があったり、だんだん竹林の中に引きこもったあたりから和風に慣れてきました。
登場人物の名前をほぼフルネームで言うので覚えやすいけど、長いから文字数稼いでるような気がする。
ホームズでええねん。
ただ、事件は本物でシャーロック・ホームズの冒険のシリーズにあるもののようなので、いずれ原作のシャーロック・ホームズの冒険も読んでみたいと思います。

 



アイリーン・アドラーについて

この人が出て来てから、リッチボロウ夫人との攻防が激しくなってきてよりファンタジー色が強くなってきた。ファンタジーというよりなんちゃってホラー。
水晶玉のトリックを暴いたのは見事だったけど、そのあとがインチキかそうじゃないかの判断つけられないくらいいろんなことが起きてる。
シャーロック・ホームズいわく謎を解こうとするからだめなんだ、と…。
きっちりしているようでいて熱烈なシャーロック・ホームズのファンで面白かった。わりとストーカーチックにシャーロック・ホームズグッズ集めてる。

 

ワトソンについて

今回の作品の主人公であり、執筆者。まさかシャーロック・ホームズの凱旋が物語のキーワードになっているとは思わなかったよ。二重でびっくりです。
最初はヴィクトリア朝京都の下鴨神社近くに住む医者っていう設定に慣れなかったけど、考えてみたら毎日プレイしてるFateなんかはシャーロック・ホームズはサーヴァントで召喚されて、レオナルド・ダ・ヴィンチちゃんとスウェーデンに行って敵にやられているわけだから、戦える作家の設定なのですよ。
人間ですらないわ。だからこれで驚いていたらきりがないのよ…。
シャーロック・ホームズはフリー素材…いやいや。
妻のメアリともいろいろありましたが、最後は丸く収まってよかったです。

見捨てたと思っても最後はホームズのところに戻ってくるのがワトソンです。

シンカ
シンカ

単行本で473ページ、あとがきも解説もないので純粋に物語のみで鈍器本でした。いやあ面白かった。そして重量がけっこうあった(笑)

『シャーロック・ホームズの凱旋』を好きな人にはこちらもおすすめ

シャーロック・ホームズの凱旋で竹取物語と竹林、月が印象的だったので月系の小説をおすすめします。

青山美智子先生の『月の立つ林で』は現代日本でタケトリ・オキナがポッドキャストを使って『ツキない話』を配信する話です。

こちらは竹取物語、竹林、かぐや姫がキーワードですが、こちらは現実的です(笑)


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最後に仕掛けられた驚きの事実と
読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、
心震える傑作小説。

Amazonより引用

 

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まとめ

  • シャーロック・ホームズの凱旋は舞台が「ヴィクトリア朝京都」
  • 登場人物はすべてイギリス人だが、住所は日本っぽい
  • でもヴィクトリア朝京都だから、日本人は出てこない
  • シャーロック・ホームズの謎解きはほぼないので、探偵小説だと思って読むと辛い
  • 異世界ファンタジーとして読みましょう!

 

今回は『シャーロック・ホームズの凱旋』を読んだのでその感想を書きました。
長くなったわりにはまとまっていないような気もしますが…。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。


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