『夜は短し歩けよ乙女』は意味不明?あらすじと感想レビュー

4.0
ファンタジー
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シンカ
シンカ

こんにちは。元司書のシンカです。

 

 

今回は、森見登美彦先生の『夜は短し歩けよ乙女』を読んだのでその感想を書きます。
京都を舞台に京大の学生たちの恋愛模様を描いた青春小説ですが、ファンタジー要素も多分に含まれていて大変オモチロオカシイ小説になっております。
かといって異世界ファンタジーのような壮大なファンタジーではなく、漫画を読む感覚で何も考えずに読めるので楽しいものでした
主人公は、名前が明かされない『黒髪の乙女』と、同じく名前が明かされない彼女と同じクラブの『先輩』を中心に物語は進んで行きます。
恋愛における『ナカメ作戦』とは何なのか?
恋愛において『ナカメ作戦』は効果があるのか?
先輩の一途な恋心と、まっすぐな性格の黒髪の乙女の絡みがとてもかわいい一冊です。
ぜひ、最後までご覧ください。

 

京大生のオモチロオカシイ学生生活と、ファンタジー要素を含んだラブコメが楽しい一冊

 


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『夜は短し歩けよ乙女』の著者について

『夜は短し歩けよ乙女』の著者は森見登美彦さんです
1979年、奈良県生まれの方で、京都大学農学部卒業、同大学院農学研究科修士課程を修了しておられます。
2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビューしておられます。2007年、『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞しており、また、同作品は本屋大賞2位にも選ばれております
他の著書に『きつねのはなし』『<新釈>走れメロス 他四篇』『有頂天家族』『美女と竹林』『四畳半神話体系』『ペンギン・ハイウェイ』など多数あります。
初めて読む作家さんでしたので、他の著書も読んでいこうと考えています。

 

『夜は短し歩けよ乙女』を読んだきっかけ

大手古本屋で見つけたので購入しました。
Twitterのタイムラインで見かけたこともあり、解説の羽海野チカ先生も大好きでしたので購入しました。
漫画での解説でしたが、黒髪の乙女がまんま『3月のライオン』のひなちゃんでしたので、途中から黒髪の乙女がひなちゃんに変換されてしまい苦労しました。
解説は最後に読むべきですね(笑)。
本屋大賞2位にも選ばれたということで興味はありました。
ラブコメ大好きです。表紙の絵もかわいいですね。
いわゆるジャケ買いというやつかもしれません。

 

『夜は短し歩けよ乙女』はこんなあなたにオススメ

 

『夜は短し歩けよ乙女』は、個性的な登場人物が賑やかに青春を楽しむ恋愛ファンタジーです。

  • ラブコメが好きな人
  • 学園ものが好きな人
  • ファンタジーが好きな人
  • 楽し気な雰囲気が好きな人

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『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじ

『夜は短し歩けよ乙女』は、京都大学のクラブの先輩後輩である主人公たちを中心とした、ラブコメ色の強い恋愛ファンタジーです。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下賀茂神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。
けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する”偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。
そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。
山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作! 解説:羽海野チカ

出版社より引用

 

 

 



『夜は短し歩けよ乙女』の登場人物

主人公の2人はなぜか名前がありません。強いて言うなら、学園祭の時の役名でしょうか。

それでも全体の呼び名はないので、そこも意味不明にとらえられてしまう要因のひとつかもしれません。

  • 黒髪の乙女…京都大学の学生。底なしのようにお酒をたしなむ。
  • 先輩…同じクラブの先輩。どうやら頻繁に遭遇する感じ。そういえば何のクラブか書かれていないし、学園祭の出し物もやっている様子はない。
  • 東堂(とうどう)…緋鯉を扱う会社の社長。先斗町で黒髪の乙女が出会った壮年の男性。
  • 樋口(ひぐち)…浴衣を着て、煙を出しながら空中を舞う、天狗のような男。得体がしれないが、悪い人ではないらしい。
  • 羽貫(はぬき)…樋口と一緒に吞んでいた女性。東堂に絡まれていた黒髪の乙女を助ける。
  • 李白(りはく)…高利で金を貸す金持ち。好々爺。
  • パンツ総番長(パンツそうばんちょう)…恋愛に一途すぎる学園祭のときの重要人物

意外とパンツ総番長がいいキャラしてて好きでしたが、彼女に会えたときはパンツを履き替えてないわけで…。
なんでそういう発想になったのか斜め上な一途さが意味不明なんでしょうかね?
知らんけど。

 

 

 

『夜は短し歩けよ乙女』の感想


『夜は短し歩けよ乙女』は四章からなっており、黒髪の乙女のまっすぐな性格と、先輩の一途さにキュンキュンするラブコメ、恋愛ファンタジーです。
日常で起こるちょっとしたイベントがファンタジーになっているので、ファンタジーが苦手な方でも入りやすいかもしれません
よく言うと楽しくて賑やかな学生恋愛、悪く言うとこれと言った事件や事故は起きずにストーリーが進むので、何も考えずに楽しめるのは魅力です。

夜は短し歩けよ乙女は意味不明?

なんて検索で出てきたりしますが、不思議なお爺さんや不思議なお兄さん、不思議な男の子が出てくるので少しわかりづらいところがあります。

みんなノリがよくて好きですね。酔っ払いの宴とかね。

四章構成になっており、各話でイベントが起きて黒髪の乙女と先輩の仲が徐々に縮まっていきます。

  • 第一章 夜は短し歩けよ乙女
  • 第二章 深海魚たち
  • 第三章 御都合主義者かく語りき
  • 第四章 魔風邪恋風邪

 

夜は短し歩けよ乙女について

表題作になっている一番最初の物語です。
黒髪の乙女の素晴らしい飲兵衛っぷりと、先輩の不憫さが際立つお話でわりと好きです。
樋口さんや羽貫さんに会い、いろいろな飲み会に参加するうちに最初に呼ばれた結婚式の新郎新婦までも縁があったので人と人の繋がりが面白かったです。
世間は狭い。
個人的に辛いことがあったので、楽しそうにみんなでどんちゃん騒ぎをしている光景は読んでて少し気分が晴れました。
大学生ってお酒飲める年齢だから、たまにはっちゃけるよね、うん。

旦那氏
旦那氏

…。

 

シンカ
シンカ

ええと…なんだっけ、友だちとの飲み会で裸踊りしたって言ってた人、いたよね?

 

旦那氏
旦那氏

余計なこと言わないでいだたけますか!

誰でもはっちゃけるときありますよね…。うんうん。

 

ナカメ作戦とは…「なるべく彼女の目にとまる作戦」のこと。
外堀を埋める作戦として頑張っていますが、進展はあるのか?
先輩の恋心やいかに?

 

 



 

深海魚たちについて

古本市の話なのに、なんでこのタイトルなのかな、と思っていたら最後にちゃんとタイトルの意味も回収されてて安心しました。
古本の神様かあ…。私も無駄にコレクションしている漫画とかあるから、祀り上げて「なむなむ!」って拝んだほうがいいですかね?
こ、この間読んだ本を古本屋へいくつか放流したものがあるので、許してください!

なむなむ。

印象に残っているフレーズは、小さな男の子が本の繋がりを説明するくだりでした。

最初にあんたはシャーロック・ホームズ全集を見つけた。著者のこなん・どいるはSFと言うべき『失われた世界』を書いたが、それはフランスの作家ジュール・ヴェルヌの影響を受けたからだ。

そのヴェルヌが『アドリア海の復讐』を書いたのは、アレクサンドル・デュマを尊敬していたからだ。

そしてデュマの『モンテ・クリスト伯』を日本で翻案したのが「萬朝報」を主宰した黒岩涙香。

 

とくとくと語りながら織田作之助までの繋がりを淀みなく言い切ったときには確かに妖怪っぽかったですね。

…なむなむ!

個人的には本の取り合いで激辛鍋を囲んだりと、意味不明な部分もありましたが好きな話です。

先輩の心意気や…よし!

一歩間違えればストーカーのように追いかけていますが、そこは一途な想いが現れていてなかなかよかったです。好き。

意中の本を賭けた戦いも最高でしたね…。本当、李白さんは何者なのか。

最後の終わり方もとても好きな話でした。でも本のコレクションはしたいのです!

なるべく色んな人の手に渡るように心がけますし、なるべくこっそり拝みますので何卒コレクションさせてください!(特にまだ読んでいない積読とか)

なむなむ!

思わず一緒になって拝みそうになった深海魚たちでした。

 

御都合主義者かく語りきについて

最初に読んだときには、学園祭の劇の内容が意味不明だったんです。

適当に読んでたからですかね。

2回目に読んだらようやくお話が理解出来てきました。

偏屈王 あらすじ
  • ヒロインのプリンセス・ダルマが恋人の偏屈王を探している
  • 偏屈王はどこかに幽閉されている模様
  • 偏屈王とは誰なのか
  • 偏屈王はどこにいるのか?
  • 実際のサークルや団体などがゲリラ的に参加している
あんまり言うとネタバレになってしまうのでこの辺に留めておきます。
が、最初に演じていたプリンセス・ダルマの女優が学園祭事務局に捕まってしまったため、急遽代役を黒髪の乙女が演じることになったことで物語が動き始めます。
先輩の頑張りは称賛に値しますよ…。
素敵。

ハッピーエンドだ。誰もが赤面することうけあいだ。

 

というパンツ総番長のセリフも大好きですね、名言だと思います。

パンツ総番長に関しては、先輩と同じように恋愛に対して一途でしたけど斜め上すぎて笑いました。

シリアスにしようとして間違えちゃった的な。

そんな感じでしょうか。

とはいえ、紀子さんとのカップリングも好きですし、ほぼ悪役の学園祭事務局長でさえ実はいい人で嫌なキャラは誰もいないので、安心して読むことができます。

 

ハピエン厨の私には美味しいお話でした、ありがとうございます

 

魔風邪恋風邪について

風邪がここまでファンタジーになるとは…!とある意味感心したお話です。

本当、李白さん何者?

京都の街に流行った風邪のせいで、街中がまるでコロナ禍の時のような有様でしたね。

李白さんの咳がヤバい。

実は神様の類なのでしょうか…。

最後はハッピーエンドになったのでよかったです。

報われるといいね…先輩。

映画化もされているので、いずれ映画も見てみたいです。

 

 

 

 

『夜は短し歩けよ乙女』が好きな人はこちらもおすすめ

 

『夜は短し歩けよ乙女』と同じ著者が書いている、同じく京都が舞台の京大生の小説をおすすめします。こちらも主人公に名前はなく、京大のサークルを中心にファンタジー世界を旅する物語です。
『夜は短し歩けよ乙女』と登場人物がリンクしており、羽貫さんと樋口さんが出ています。

 

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。
悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとはなかなかお近づきになれない。
いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!
さ迷い込んだ4つの平行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっとほろ苦い青春ストーリー。
(解説・佐藤哲也)

出版社より引用

 

読書ブログはこちら↓↓

 

 

 

まとめ

  • 京都の街を舞台にした恋愛ファンタジー
  • 京大の学生が主人公
  • 日常をファンタジーにしているので、ファンタジー苦手な人でも楽しめます
  • 色んなカップルの成立が楽しい

 

今回は体調を崩して読書に集中出来る状態ではなかったのですが、何も考えずに楽しめるスタイルの小説で、だいぶ心が軽くなりました。

他の作品も悩みが吹き飛ぶほどのアホさ、と評判なのでぜひ読んでみようと思います。

文体は小難しい表現が多いですが、慣れれば楽しいと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

 


 

 

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