こんにちは、シンカです
今回は【2013年】に【第148回】直木賞を受賞した小説『何者』の紹介をしていきます。
就職活動の波に飲み込まれた【5人】の大学生たちの、就活の記録。
就職活動をして内定をもらえば『何者』になれるのか?
就職活動をしている現在の自分は『何者』なのか?
就活とTwitterで本当の気持ちはわかるのか?
恋愛あり、友情ありの青春の終わりを覗ける、貴重な一冊です。
光太郎と瑞月の恋の行方は?
拓人の片思いの行方は?
就職活動を通じて、互いの本音が覗けてしまう、少しダークな物語です。
結論は、エントリーシートやグループディスカッションなど、私がやったことのない就職活動の内容を知ることができたので勉強になりました。
ぜひ、最後まで読んでいってくださいね。
2013年直木賞受賞作!映画化の原作小説
『何者』の著者について
『何者』の著者は朝井リョウさんです。
1989(平成元)年生まれ。戦後の男子としては最年少で、2013年に『何者』で直木賞を受賞します。岐阜県の出身で、早稲田大学文化構想学部を卒業しておられます。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞し、デビューしています。
2011年、『チア男子!!』で高校生が選ぶ天竜文学賞、2013年、『何者』で直木賞、2014年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞など、数多くの文学賞を受賞しておられます。
他の著書にも、『もういちど生まれる』『スペードの3』『武道館』などがあります。
私は『何者』とエッセイの『時をかけるゆとり』『風と共にゆとりぬ』『そして誰もゆとらなくなった』を読んでいます。
『何者』のあらすじ
想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。
就活対策のため、拓人は同居人の光太郎や留学帰りの瑞月、理香らと集まるようになるが――。衝撃のラストが襲いかかる戦後最年少の直木賞受賞作。
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから―。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて…。直木賞受賞作
『何者』原作小説の登場人物
『何者』は小説を原作に、映画化されています。
- 二宮拓人(にのみやたくと)…主人公。社会学部。
就職浪人で大学5年生。光太郎とルームシェアをしています。
学生サークルで演劇の脚本を作っていましたが、就職活動を機会に辞めています。観察能力が鋭く、細かなことに気づく性格です。
演:佐藤健 - 神谷光太郎(かみやこうたろう)…拓人と同じ社会学部の大学生。拓人とルームシェアをしています。学生時代はバンドに力を注いでいました。
コミュニケーション能力が高く、その場を盛り上げる力に長けています。
演:菅田将暉 - 田名部瑞月(たなべみずき)…拓人の片思いの相手です。拓人、光太郎と同じ社会学部です。しかし光太郎と付き合っており、振られています。
アメリカでインターンシップを経験してきました。
【5人】の会話の中では、どちらかというと聞き役の方が多いです。
演:有村架純 - 宮本隆良(みやもとたかよし)…拓人と光太郎のアパートで、上の階に住んでいる大学生です。理香と付き合っており、同棲しています。
理香の部屋に住んでいるので、就職活動へは積極的になれないまでも、他の【3人】が部屋に来ると会話に加わったりします。
就職活動に批判的でしたが、そのうち他の【4人】に隠れて就職活動をするようになります。
演:岡田将生 - 小早川理香(こばやかわりか)…拓人、光太郎のアパートの上の階に住んでいる大学生。外国語学部国際教育課の生徒です。瑞月とは留学生交流会で知り合い、隆良とは付き合って三週間ですが、同棲をしています。
アメリカ留学を経験しており、就職活動に対する意識が強いです。
エントリーシート記入や模擬面接、OB訪問など積極的に参加し、TwitterなどのSNSも就職活動に活用しています。
演:二階堂ふみ - サワ先輩…拓人のバイト先の先輩。大学院二年生。「理工学部院二年」ということですが、詳細は不明です。拓人の愚痴を聞いてくれる優しい先輩。
演:山田孝之
『何者』原作小説の感想(ネタバレ含む)
『何者』は5人の学生が就職活動を通じて、自分の内面と向き合う小説です。
今回読んだ本の表紙に、本来の『何者』の表紙の上に、映画に出ている俳優陣が映っている表紙が重なっている仕様だったので、カバーでも楽しむことが出来ました。
それぞれの登場人物が、しっかりと就職活動をしていたので、就職失敗組の私からすれば少し読むのが辛いと感じるお話でした。
実にリアルに、学生たちの就職活動の実態と試験内容などが語られています。
事件や事故は何も起こらないけど、ホラーに近い怖さがありました。
就職活動をしていない人も、必ず自分が『何者』であるのかを考える時がやってくるはずなので、何十年もあとにこれを読んだら、「昔はこんなだったよね」と懐かしむんじゃないかと思います。
【5人】で集まって就職活動の会議とかしているけど、ところどころに他の人に対する悪意が垣間見える作品でした。
非通知の電話について
就職活動の時、非通知の電話で企業から合格通知が来ると聞いたことはあります。
…合格者には期限の【4日前】くらいにはもう電話が来るんですね。
知らなかった。
パートから臨時職員になったから、あんまり試験受けてないんですよね
パートは履歴書と面接だからなぁ、
グループディスカッションとかないし
とても勉強になりました
…己を振り返ってしまう、素晴らしい作品です。
拓人について
頑張っている人に対して、どこか遠くから観察しているような性格。
俺はお前たちみたいにがむしゃらにはやらないんだぜ、と言っているのでなかなか就職が決まらない。
【5人】で集まることになり、情報収集やエントリーシートの見せ合いなどしていたけど、裏では悪口を言っていて好感が持てる人物ではありませんでした。
人に頼られているから、「出来る」人ではあるんでしょうけど。
Twitterも就職活動も、ただの小道具であって拓人の本質は別のところにありましたね。
いいところはそうだな、失恋した女の子の話を聞いてあげたりとかかな。
物語に起伏がないので、特にカッコいいところとか見せ場とか、そういうものはないですね。ひたすら就職活動してTwitter投稿してるから、本当にリアルです。
想像力がたりない人は嫌いって言っていたけど、自分のTwitter見られるくらいの想像は出来なかったんだろうか…。
理香について
この人は、いろいろ頑張っていて凄いと思いました。
インターンにOB訪問、アメリカ留学までしているのですから。
でも、欠点はあるようです。Webテストがなかなか通らないとか。
最後まで受からなかったね。拓人もそうだけど。
拓人の観察者然とした物の見方は少し嫌だな、と思っていたので、理香の最後の反撃はとてもすっきりしました。
でも「あんた私のこと笑ってんでしょ」って、よく面と向かって言えたなあ。
なかなか言えないと思います。理香がやられていたことを思えば、それもしかたないかと。
光太郎について
一見何も考えてなさそうな感じの光太郎ですが、バンド引退したらすぐに髪の毛を黒く染めたりと、就職活動についてちゃんと考えてるんだな、と感じました。
ムードメーカーでコミュニケーション能力が高い光太郎も、瑞月といきなり別れたり、少し歪んでいるところがあるようです。
瑞月について
この人は一途なイメージのまま最後まで読めました。瑞月を好きな拓人視点で物語が語られるからでしょうか。あんまり瑞月についての悪口は出てこなかった。
光太郎との恋愛相談に乗ってあげたり、この子には拓人も優しかったように思います。Twitterで動向を探ることはやめなかったけど。
理香の彼氏に物申した時もカッコよかったです。
Twitterについて
私もTwitterは毎日利用していますし、いくつかアカウントを持っていますが、他人が別のアカウントを検索できるとは知りませんでした。
誰も見てないと思っていたら、1番見たくない人に見られるのって最悪だな…と思います。
もし、試験を受けた企業が検索して好き勝手ツイートしてるのを見たら嫌だなー。
と感じます。でも、検索出来るならするだろうなぁ、とも思いますね。
裏アカウント恐るべし。
本名でTwitterはやりたくないですね!ということを再認識しました。
まとめ
- 大学生の就職活動をテーマにした作品
- 短い文章で自分のことを話さなければならなくなった時、どの言葉を選ぶのか
- 面接やTwitter(140字)の中で、本当の言葉はあるのか?
- 就職活動を通して、5人の関係が歪んでいく
今回の『何者』はファンタジーやミステリーのような盛り上がりはありませんが、ホラーにも似た恐怖を味わうことができます。
人間の汚い部分を全部見せられてある意味衝撃があります。
特に最後の展開はびっくりしますので、興味がある方はぜひ、読んでみてください。
最後まで読んで頂いてありがとうございました!
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