こんにちは、元司書のシンカです。
今回は西尾維新先生の『怪盗フラヌールの巡回』を読んだので、その感想を書きます。
あなたは『竜宮城』と聞いてどんな場所を思い浮かべますか?
『玉手箱』は?
この小説は浦島太郎の竜宮城と玉手箱をモチーフにした物語ですが、竜宮城とは何なのか?
玉手箱とは何なのか?を中心にストーリーが展開していきます。
結論としては、ライトノベルな感じで読んだけどわりとしっかりとしたミステリーになっていたので、最後まで楽しんで読みました。
クローズドサークルのミステリーが好きな人にはオススメできる一品です。
また、西尾維新作品なので、登場人物や言葉遊びも健在で濃いキャラが出てきたのでそこも楽しみの一つかな、と感じます。
ぜひ、最後までご覧ください。
怪盗が”竜宮城”に”玉手箱”を返しに行く?
濃い名探偵が見どころ
『怪盗フラヌールの巡回』の著者について
『怪盗フラヌールの巡回』の著者は西尾維新さんです。
1981年生まれの方で、2002年に『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』で【第23回メフィスト賞】を受賞してデビューされております。
同作の主人公を語り手とする「戯言シリーズ」は「このライトノベルがすごい!2006」で【第1位】にランクインしております。
【2005年】から【2006年】にかけて発表された『化物語』は、「<物語>シリーズ」としてシリーズ化され、アニメ化・ゲーム化など様々なメディア展開が行われております。
【2009年】以降作家別売上ランキング【トップ10】に入り、【2012年】には【ランキング1位】を獲得しておられます。
『怪盗フラヌールの巡回』を読んだきっかけ
<物語>シリーズで、モンスターシーズンの完結編である『死物語』の記事を書いていた時に、見つけた公式動画サイトで作品のことを知りました。
この作品がシリーズ1冊目ということで、楽しみにしていたので見つけたときには「これは!」と思って読みました。
個人的には、『刀語』と『化物語』シリーズが大好きで、コンプリートしております。ただ、<物語>シリーズについてはアニメを全て見ていないので、引き続き視聴していく予定です。
『刀語』は原作全て読了し、アニメも放送したときに録画して全て視聴しました。
七花強ぇぇーー!と叫びながら見ていた記憶があります。
これを12冊毎月刊行していたとか凄すぎるわー。
またCVが梶裕貴さんなので、そこも耳が幸せになります(当社比)。
『怪盗フラヌールの巡回』はこんなあなたにオススメ
『怪盗フラヌールの巡回』はミステリーが好きなあなたにオススメします。特に、
- クローズドサークルのミステリー
- 不可能犯罪
- 名探偵と犯人の対決
などが好きな方はオススメですね。海底のクローズドサークルだから、方舟好きな人は好きかもしれないです。
『怪盗フラヌールの巡回』のあらすじ
父親が怪盗であったことを知った息子は、父親が盗んだお宝を返す”返却怪盗”として二代目を継ぎます。
亡き父親の正体は大怪盗だったーーー!?
長男の「ぼく」は傷ついた弟妹と愛する乳母のため二代目怪盗フラヌールを襲名。
持ち主にお宝を戻す”返却活動”を開始する。
次なる標的は、天才研究者が集う海底大学。忍びこめたかと思いきや、初代怪盗フラヌールを唯一捕らえたベテラン刑事と、新世代の名(ウルトラ)探偵が立ちはだかり、不可能犯罪まで発生!
二代目怪盗フラヌールは、数多の謎を解き明かし、任務を完遂できるのか!?
衝撃の怪盗ミステリー、ここに開幕!Amazonより引用
『怪盗フラヌールの巡回』の登場人物
『怪盗フラヌールの巡回』は西尾維新作品らしく、登場人物の名前も個性的です。
あるき野家の人々
- あるき野散歩(あるきの・さんぽ)…職業ルポライター。しかし裏の顔は「初代怪盗フラヌール」
- あるき野道足(あるきの・みちたり)…職業ルポライター。散歩の息子。裏の顔は「二代目怪盗フラヌール」
- 閨閥艶子(けいばつ・つやこ)…通称お艶。道足の乳母。
乙姫島海底大学(おきのしまかいていだいがく)の人々
- 乙姫島湯煙(おきのしま・けむり)…乙姫島海底大学学長。
- 四方山枯渇(よもやま・こかつ)…イケメンな乙姫島海底大学副学長。
- 土金土塊(つちがね・つちくれ)…医師免許を持った準教授。
- 土金ポワレ(つちがね・ぽわれ)…土塊教授の娘。
警察関係者
- 東尋坊警部…あるき野家と家族ぐるみでお付き合いしていた怪盗フラヌールを捕まえた刑事
その他の人々
- 涙沢虎春花(うるさわ・とらはるか)…名探偵
『怪盗フラヌールの巡回』の感想
思いのほかしっかりとしたミステリーで楽しめました。
ちなみに、この作品の表記では「ミステリー」となっているので、基本それに合わせて書いていこうと思います。
登場人物の名前について
相変わらず西尾維新作品は、登場人物が名前だけで個性的です。
初代フラヌールとか「あるき野散歩」よ?
いない、現実にそんな名前(笑)。
漢字も読み方も特殊なので毎回戻りながら読んでました。
警備員の人なんて苗字だっけ…櫓、櫓屋(やぐらや)だ。
警察関係とか読めるのは東尋坊おじさんだけだよ、待葉椎(まてばしい)巡査なんて戻らないと読めない。
刺抜有理数、無理数にいたってはもうゆうりすう、むりすうって読んでました(読み方はとげぬきゆりかず、むりかず)。
名前については、ポワレちゃんがあるき野の名前を「アルキメデスさん」って言って吹いた。
この流れは、〈物語〉シリーズのあれか、「失礼、噛みまみた」が出てくるのか!?と思ったけれど、出てきませんでしたね。
それはそうか。
中でも強烈な名前は名探偵の涙沢虎春花でしょうか。
古のヒロインが「大河」という名前だからあだ名は「タイガーだ!」なんて言っていたのをかっとばすくらいの強烈な名前です。
大河という女の子なら別作品にいても、「虎春花」なら同じ名前は絶対いないし、ダイレクトに名前に「虎」が入ってるよ…。
名前も強烈だけど、キャラも強烈だった。
名(ウルトラ)探偵について
ところで虎春花ちゃん、あなたどれだけウルトラのバリエーションがあるの?
日常の会話がほとんどウルトラなんですけど?
あら、あるき野。こんなところで会うなんて光栄(ウルトラ)だわ、あなたが
から始まって。
- 美脚
- 感謝
- 美徳
- 丁寧
- 才能
- 名前
- 性格
- 美麗
- 事件
- 犯人
とりあえずウルトラって言っておけばいいみたいな、性格が悪いもウルトラが悪いとか言われちゃうんですよ。
なかなか強烈よ?
ちなみにファッションも中世の人が着るようなドレスで重量が強烈。
もう全部が強烈。
アニメ化されないかな、これ。
<物語>シリーズの撫子が海のサバイバルしてたときよりアニメ化に向いてそうです。
土金ポワレちゃんについて
この子も外せない強烈なキャラでした。名探偵とタイマンはってたから相当だぞ。
ハッピーゴーラッキー。お父さまのことが大好きなの。
とにかくこの一行さえ覚えておけば物語の概要が掴めます。
嘘です、言い過ぎました。
ただ、この言葉がキーワードだったのは間違いないですね。
まあ、基本父親にべったりのポワレちゃんでしたが、最後のどんでん返しはすごかった。
普通にびっくりしたし、普通に名探偵に勝ってた。
名探偵が犯人に謝るなんてことはなかなかないですね。
面白かったです。
ただ、その後が気になるところです、ハッピーゴーラッキー。
ところで西尾維新作品てさぁ、同じ言葉を延々くりかえして1ページ埋めるの好きだよね?強調するにはいいかもしれないけど目がすべる。
そんなことを感じたポワレちゃんでした。
初代乙姫島海底大学の学長について
これはもうね…Fate/staynightの桜のおじいさんですよ。
なるほど、間桐家の魔術か。理由もまんまだね。
不老不死ね。はいはい。
と感じていました。わかる人にはわかる、マイナーなキャラクターです。
蟲を使わずに体を乗っ取っているから、そこはグロくなくてよかったかなーと。
あんまり言うとネタバレになるので、ここでとどめます。
怪盗フラヌールについて
いいと思う。いいと思うけど、途中から怪盗ではなく探偵に鞍替えしている?
正直江戸川乱歩の少年探偵団みたいな話かと思ったら全然違ったので、そこは意外性があって楽しかったです。
竜宮城と玉手箱について
『怪盗フラヌールの巡回』がシリーズ1作目ということで、もう次回作が出てるよ!とTwitterのフォロワーさんに教えていただきました。
シリーズ1作目からいろいろと強烈なので次回作も読んでいきたいと思います。
巻末の方に怪盗フラヌールからの予告状があったので、楽しみにしています。
今回は初めから”竜宮城とは何なのか””玉手箱とはなんなのか”についての物語だったので読んでいて楽しかったです。
浦島太郎や人魚姫を絡めた伝説など、少しファンタジー要素もありますが基本はミステリーなのでファンタジー苦手な方でも読みやすいと思います。
まとめ
- 大怪盗が父親だと知った主人公は、父が盗んだお宝を返却する返却怪盗になる
- クローズドサークルのミステリー
- 返却しに行ったら殺人事件が起きる
概要はこんな感じでしょうか。第1作目からなかなか強烈なキャラが目白押しで楽しい小説でした。
ただ名前はわかりにくいので、名前に全部ルビを振ってほしい。無理か。
次回作もあるので期待して読もうと思います。
ウルトラ&ハッピーゴーラッキー。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
クリックお願いします!↓↓↓
コメント