こんにちは、シンカです。
今回は、綾辻行人先生デビュー作の『十角館の殺人』を読んだので、感想を書いていきます。
この本はデビュー作が1987年と長くシリーズが続いている有名な小説なので、読み始めたときにはいよいよこれを読むのか…!
とわくわくしながら読みました。
名作は何年経っても名作なんだな、と感じるものでした。
角島に集まったミステリ研究会のメンバーはなぜ奇妙なあだ名をつけているのか?
十角館の殺人で有名な一行とは?
主要人物の本名を伏せることで意味があるのか?
など見逃せない箇所がたくさんあります。
ミステリをあまり読まない方にもオススメできるので、一度読んでみてほしい作品です。
Twitterの読書垢でも、『名刺代わりの小説10選』などに入っていることが多く根強い人気が伺えます。
孤島・角島で大学ミステリ研究会の7人を襲う恐怖、第1の館
『十角館の殺人』の著者について
『十角館の殺人』の著者は、綾辻行人さんです。
1960年生まれの京都府京都市出身の方で、妻に小野不由美さんがいます。
1979年に京都大学教育学部に入学し、京大推理小説研究会に所属されています。
研究会の同期に後に結婚する小野不由美さんがおりました。
江戸川乱歩賞に『十角館の殺人』の原型で応募し、第1次選考に残っておられます。
在学中に『十角館の殺人』でデビューした後、1992年に『時計塔の殺人』で日本推理作家協会賞を受賞されております。
代表作に『館シリーズ』『Another』などがあり、著書も多数あります。
小野不由美さんの作品ばかりよんでいたので、『館シリーズ』を読んでいきたいと考えています。
『十角館の殺人』を読んだきっかけ
小説『めぐりんと私。』の中で、司書が、ミステリ初心者に向けてこれを読んでいればミステリ好きと話ができると紹介された本だったので読みたくなりました。
Twitterのタイムラインでよく見かけていた作品であり、妻の小野不由美さんの作品を読んでいたので興味をもちました。
また、読書垢の方で『名刺代わりの小説10選』のハッシュタグに入れている方が多く、読んでみたいと感じたのがきっかけです。
児童書のミステリシリーズでも出ていますので、ミステリに興味あるお子さんにもオススメできます。
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『十角館の殺人』のあらすじ
九州に旅行に出かけた大学生が殺人事件に巻き込まれる物語です。
大学のミステリ研究会に所属するメンバー【7人】が、十角館が建つ孤島に訪れるところから話が始まります。
ミステリ研究会のメンバーはそれぞれ欧米のミステリ作家の名前をあだ名としている変わった学生でした。
エラリイやアガサ、オリツィなどの有名なミステリ作家の名前で呼び合っている彼らは、十角館で旅行し、自身もミステリ小説を書いて会誌を作ることを目的としていました。
やがて【1人ずつ】殺害され、十角館に恐怖が襲います。
犯人は誰か?
どんでん返しで有名な『あの一行』とは?
十角館の秘密とは?
島と本州に分けて物語が進んでいく形式になっています。
『十角館の殺人』の登場人物
『十角館の殺人』の登場人物は特徴があるため、実際に呼ばれているあだ名で紹介していきます。
▼島に行ったミステリ研究会のメンバー
- エラリイ…ひょろりと背の高い、色白の好青年
- カー…顎髭が特徴の青年
- ポウ…医学部。顔の下半分が髭に覆われている
- アガサ…ロングソバージュが特徴の、サバサバした美人。
- オルツィ…文学部で、万葉集や古今和歌集などに詳しい
- ルルウ…メガネをかけた小柄な会誌の次期編集長
- ヴァン…身内のつてで十角館へ泊まれるように声をかける
▼本土にいる登場人物
- 島田潔(しまだきよし)…お寺の坊主をしている、警察にコネがあるらしい。中村紅次郎の幼馴染み
- 江南孝明(かわみなみたかあき)…去年ミステリ研究会をやめた元メンバー。不思議な手紙が届き、島田と行動するようになる
- 守須恭一(もりすきょういち)…ミステリ研究会のメンバーだが、角島へ旅行はせず、絵を描いている
▼角島
- 中村青司(なかむらせいじ)…十角館を建てた建築士。建物だけではなく、テーブルやカップも十角形に設計する。十角館は離れであり、母屋の青屋敷に住んでいた
- 中村千織(なかむらちおり)…元ミステリ研究会のメンバー。体が弱かったらしい
- 中村紅次郎(なかむらこうじろう)…中村青司の弟
※ミステリ研究会のメンバーの名前はカタカナですが、全て日本人であり、本名が別にあります。
『十角館の殺人』の感想
大学のミステリ研究会のメンバーが角島に訪れるところから話が始まります。
描写が細かく丁寧なので、状況は理解できました。ところどころ図解があり、わかりやすかったです。
※ここからはネタバレを含みますので、未読の方は気を付けてお読みください。
十角館について
建物だけでなく、中のテーブルやカップに至るまで全て十角形という異様な館です。
十角形の建物に十角形のホール、十角形のテーブル、十角形の天窓、十角形の灰皿、十角形のカップなどあらゆるものが十角形でできているので不思議な空間になっています。
窓の位置や角度が違うので、しばらくみつめていると具合が悪くなってしまう仕様のようです。
十角館にはそれだけではない秘密があり、それは素直にびっくりしました。
ここで言ってしまうと楽しみが減ってしまうので、十角館にある秘密は読んで探してみてください。
登場人物の名前について
角島に旅行したミステリ研究会のメンバーは、欧米のミステリ作家にちなんだものです。
もちろん、それぞれの本名がある日本人ですが、名前が重要になってきます。
余談ですが、私はあまり海外のミステリを読まないので、知らない作家のあだ名もありました。
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』は読んだことあるけど、エラリー・クイーンとかヴァン・ダインとかオルツィ…なんだっけ?
状態
エドガー・アラン・ポーはわかるよ、江戸川乱歩のオリジナル(読んだことはない)
『そして誰もいなくなった』は日本版でドラマ化もされており、小説とドラマを両方見ていた作品だったので読んでおいてよかったと感じました。
『十角館の殺人』は、『そして誰もいなくなった』のオマージュで、リスペクトを感じる作品です。
どのミステリを読んでも『そして誰もいなくなった』の要素は出てくるので、1度読んでみることをオススメします。
今回も犯人が用意した殺人予告から始まり、被害者が増えていくごとにプレートが消えていきます。
『そして誰もいなくなった』では人形で一体ずつ消えてい…あ、ここまで言うと魔眼の匣に出てきた師々田さんに
「ネタバレする気か!けしからん!マナー違反だ!」と怒られそうなのでここまでに留めますが。
ヴァン・ダインについては屍人荘の殺人で解説してくれていたような気がする
他にも聞いたことはあるけど読んだことはない欧米のミステリ作家が目白押しで出てくるので、海外ミステリも読んでみたいと感じました。
女性陣について
彼女たちについては、特にありません。が。
アガサについては、引っ込み思案な感じのオルツィに
「もっと自分に自信を持ちなさい」
と言ってくれたり、サバサバした性格でわりといい人なのにあんなことするのかしら、と感じました。
酒の席だし止めることはしなかったのかもね。
オルツィに関しては止める勇気がなかったのでしょうか。
いまさら言っても遅いことですが。
ヴァンにも風邪症状に対して水をあげたり、
「休みなさい」と言ったりしたのに。
容赦ないなぁ。と感想でした。
最後はかわいそうだった。
不倫要素
最近読んでる本にみんな不倫要素があるなあ、愛人と本妻の修羅場もセットで。
男性がキレるパターンも多い。と思ってたらこれも不倫要素がありましたね。
不倫はファンタジーだろうが家族小説だろうがミステリだろうが、どのジャンルでもふらっと出て来て修羅場という爆弾を落としていくので気が気ではないです。
そろそろ不倫から離れたいのが現在の心境です。(笑)
エラリイについて
彼については思うところはたくさんあります。
彼は頭脳明晰で、殺人事件が起きてからも冴えた推理で犯人に迫っていました。
でも、違うんだよ。
それだとそして誰もいなくなったになっちゃうんだよぉぉぉぉぉ!
彼は仲間を信じてた純粋な部分があったんでしょうね、最期まで。
外部の人間が外から来ているとは予想してたけど、まさか内部の人間が外部と行き来してたとは思わなかったんだろうなぁぁ。
仲間を疑いたくなかったのか、それとも。
ルルウとかが毒が入ってるかもってビビりながら食事をしていたのに、エラリイだけは何の迷いもなく口をつけたりとか。
最期まで純粋に仲間を心配していました。
いい線まで行ってたのになあ。
惜しい。としか言いようがない。
タバコの銘柄
再読して思ったのですが、男性陣はヘビースモーカーが多い。
医学部のポウですら、ヘビースモーカーの設定です。
1人1人タバコの銘柄が違い、その描写が細かく書かれています。
その中でも犯人とミステリ研究会で同じ銘柄の人がいるので、そこを注目してみるといいかもしれません。
細かいところまでよく考えられているなと感じた部分です。
有名な『一行』とは?
角島でミステリ研究会のメンバーが十角館で過ごしているころ、本土では元ミステリ研究会のメンバーだった江南孝明が島田潔とともに、不思議な手紙について調査していました。
本土ではミステリ研究会のメンバーだけど角島の旅行には参加していないという守須恭一と半年前に起こった角島の事件などを調べていきます。
小説の中では角島と本土の同時進行のような構成で、別の視点から描かれています。
しかし、私にはどんでん返しで有名な『一行』が何かわかりませんでした。
普通に読んだら「あれ?2人になった?」と思ってた
角島と本土が見事に重なる場面があります。
- ミステリ研究会のメンバーが欧米のミステリ作家の名前をあだ名にしていた
- 江南孝明がコナン・ドイルのように、本名に近い名前でつけられていた
- なら守須恭一はなんと呼ばれていたのか?
守須だから、モーリス・ルブランじゃね?
と思った方が多いと思います。
あの一行は、見事などんでん返しでした。
びっくりした。
ヴァン・ダインです
登場人物の名前、あだ名をしっかり覚えておかないといけないな、と感じたので再読しました。
大野由美からのオルツィのように、少し本名にちなんだような名前はありますが、ほぼ本名と関係ない人からつけられていることが判明します。
これ以上ないネタバレをしてしまったので、罪悪感はあります。
ですが、犯人がわかってトリックを知っていても面白い作品なので、ぜひ一度読んでみてください。
江南くんについて
『十角館の殺人』は漫画化もされているようですが、漫画版だと女の子になってミニスカートをはいているようです。
いったいどういう状況だ…?
気になるところですが、まさか性別まで変更されているとはこれいかに。
萌えを追求したら性転換に!
そんなわけあるか!
機会があったらぜひ読んでみたいところです。
『十角館の殺人』が好きな人にはこちらもおすすめ
外国文学ですが、『そして誰もいなくなった』をおすすめします。ミステリーの女王と言われるアガサ・クリスティーが孤島の殺人事件を描いています。
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作! 新訳決定版!
Amazonより引用
まとめ
- 館シリーズ1冊目の感想
- そして誰もいなくなったのオマージュ
- そのノリで読むと見事に騙される
- 小説と漫画でキャラの性別が違う
今回は館シリーズ1作めの『十角館の殺人』について感想を書きました。
名作は何年経っても名作です。
再読して犯人やトリックがわかった状態でも面白いし、普段はミステリ読まない人でも楽しめると思います。
気になったらぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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コメント
こんにちは。
自分も『十角館の殺人』読みましたよ。
面白かったです。
ニックネームの仕掛けに驚きました。
そのうえあの一行には衝撃を受けましたよ。
それに『そして誰もいなくなった』も読みました。
この作品も良かったです。
神崎和幸さん、コメントありがとうございます!
ニックネームにはミスリードもあって面白かったですね。
再読したら色々な発見がありました。
『そして誰もいなくなった』も読んだんですね~あれも王道なミステリで楽しかったです!