こんにちは。元司書のシンカです。
今回は、第156回直木賞と、第14回本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』を読んだのでその感想を書きます。
初めて読んだ作家さんでしたが読みやすく、単行本【507ページ2段】というボリュームながらあっという間に読めたので、(私にしては早い【5日】で読了)コンクール日程だと2週間ですから駆け抜けて読んだ感じがしています。
主人公は【4人】のコンクール出場者ーコンテスタントという単語もこの本で知ったのですが、どの主人公も素晴らしい演奏でした。
蜜蜂と遠雷の意味とは?
ギフトの意味とは?
雨の馬の意味とは?
文章だけではなく、実際に演奏している動画を見ながら読みたくなるほど臨場感あふれる内容でとても面白かったです。
知らない曲の方が多かったので、出てきた曲目全部聴きたいなと思っていたら読み終わってしまいました。
ぜひ、最後までご覧ください。
4人の天才ピアニストがコンクールで順位を争う!実際に会場で聴いているかのような臨場感
『蜜蜂と遠雷』の著者について
『蜜蜂と遠雷』の著者は恩田陸さんです。
1964年、宮城県生まれの方です。1992年『六番目の小夜子』でデビューされております。2005年、『夜のピクニック』で【第26回吉川英治文学新人賞】および【第2回本屋大賞】を受賞しています。
2007年『中庭の出来事』で【第20回山本周五郎賞】を受賞しておられます。
今回の『蜜蜂と遠雷』では、【第156回直木賞】および【第14回本屋大賞】をダブル受賞しています。
また、この他に『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品で『祝祭と予感』があります。
『鈍色幻視』『薔薇のなかの蛇』『夜果つるところ』『スキマワラシ』『ドミノin上海』『私たちの金曜日』など著書は多数です。
『蜜蜂と遠雷』のおすすめポイントは?
『蜜蜂と遠雷』は実際に会場で音楽を聞いているかのような臨場感があります。
- 友情・努力・勝利の要素があり楽しめる
- 実際にある曲目なので、普段聞かないクラシックを知れる
- コンクールの内情や、コンテストの心情が面白い
- ボリュームはあるけど読みやすい
- ピアニストがアスリートのようにストイックなので、スポーツものが好きな人にもおすすめです
勝ち抜き戦で優勝を決めるので、アスリートのようだ、と感じました。
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『蜜蜂と遠雷』を読んだきっかけ
発売当初に本屋さんで平積みになっていたので存在は知っていましたが、ボリュームがあるのでなかなか手に取らず来てしまいました。
Twitterでやり取りしているフォロワーさんが、
「蜜蜂と遠雷、舟を編むが手元にあるけどどっちから読もう」と言っていたので、舟を編むを勧めたところ、他のフォロワーさんが
「蜜蜂と遠雷は傑作です!蜜蜂と遠雷は傑作です!蜜蜂と遠雷は傑作です!」と3回言っていました。
蜜蜂と遠雷は読んでいなかったので「これは読まなければ…!」と思いましたね。
ちなみに先に私が舟を編むを勧めたので、舟を編むから読んで頂きました。(笑)
Twitterって面白いよね。今は会社名がXになりましたが…。
なんて言えばいいんだ…。
蜜蜂と遠雷を力強く推してくれたフォロワーさん、ありがとう。
おかげで良書を読む機会に恵まれました。
手元にあるんだなぁ☺️
『蜜蜂と遠雷』『舟を編む』
(まさかの歴代最高峰を買っておいて読んでないのでただアホを晒してるだけのアカウント🙋♀️)
— りりーちゃん📚 (@lilyuber2) June 11, 2023
『蜜蜂と遠雷』のあらすじ
架空の都市『芳ヶ江』で3年ごとに開催される国際ピアノコンクール。
そこに出場するピアニストたちが順位を争う、コンクールを舞台にした物語です。
3年毎に開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」というジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。
かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長くピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンで妻子もおりコンクール年齢ギリギリの高島明石28歳。
完璧な演技技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ・アナトール19歳。
彼らを始めとした数多の天才たちが繰り広げる競争(コンペイテイション)という名の自らとの闘い。
第1次から第3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?出版社より引用
『蜜蜂と遠雷』の意味とは?登場人物から考える
『蜜蜂』は主人公の風間塵の家が養蜂家であること、『遠雷』は彼の師匠であるユウジ・フォン=ホフマンを表していると言われます。
審査員も個性的なピアニストが多く、印象に残る人々が多いです。
- 嵯峨三枝子(さがみえこ)…パリのオーディションで風間塵を見つけた審査員。有名なピアニストでもある
風間塵の演奏を聴いて最初は怒ってしまう
演:斎藤由貴 - ナサニエル・シルヴァーバーグ…マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの師匠であり芳ヶ江国際コンクールの審査員。実は三枝子の元夫
- 菱沼忠明(ひしぬまただあき)…作曲家。今回のコンクールで『春と修羅』を作曲する
- 風間塵(かざまじん)…日本人だが父が養蜂家のため、各国を飛び回っている16歳。通称蜜蜂王子。
演:鈴鹿央士 ピアノ:藤田真央 - 栄伝亜夜(えいでんあや)…幼いころからCDデビューをしていた天才少女だったが、母親の死をきっかけにコンクールをやめてしまっていた
演:松岡茉優 ピアノ:河村尚子 - 高島明石(たかしまあかし)…音大卒だが現在は楽器店に勤めるサラリーマンであり、1児の父
- マサル・カルロス・レヴィ・アナトール…ペルーの日系三世。19歳。
- ユウジ・フォン=ホフマン…風間塵の師匠。三枝子とナサニエルの師匠でもある
映画は視聴していませんが、Youtubeで風間塵の演奏や、実際の音楽家の方が演奏している動画があったので聴きながら読んでいました。
イスラメイって曲初めて聴いたけどとても激しくてびっくりしました。
『蜜蜂と遠雷』の感想
友情・勝利・努力のまさかのジャンプ三大原則の要素があり、とても楽しめました。
映画見てないけれど、映画も良作のようなのでぜひ見てみたい作品です。
Twitterのフォロワーさんが「蜜蜂と遠雷は傑作です!」と3回言ったのわかった。
全部の曲は長いので聴いていませんが(なんせコンクール日程は2週間)、いずれ聴いてみたいと思います。
個人的にもピアノを習っていたので、少しはクラシックも聴いていますが、知ってる曲が最初に出てきた『貴婦人の乗馬』と『ラフマニノフ二番』くらいだったので、全部聴いてみたいですね。
無料で聴けるYoutubeマジで最高!とか言いながら、小説のお供に聴いていたので読了も早かったです。ノリノリ。(笑)。
第6回芳ヶ江国際ピアノコンクール
まず、芳ヶ江ってどこだろう、と検索してみたら、架空の都市なんですね。
ありそうでない地名だったか。
単行本は500ページの2段、文庫は800ページ越えという大作ながら、読みやすい文章だったのでサクサク読めました。
パリのオーディションから始まる本作は、規格外とも思える自由さでピアノと戯れる風間塵と、審査員の揉め事も見ものでした。
そもそも養蜂の手伝いをして手を泥だらけにしてオーディションに行くというのは、素人の私ですらダメだろ…と思います。
よく合格できたわ。
第一次予選
冒頭にある課題曲の曲目を見ながら読んで、BGMでYoutubeを流していたんです。
『平均律クラウディーア曲集 第一巻第一番ハ長調』っていう曲は知らないなあ、と思いながら聴いたら実は知ってる曲であれ?となりました。
逆にバラキレフの『イスラメイ』は初めて知った曲で、初めて聴いたのですが、激しい曲で世界で一番難しいと言われてる曲なんですね。
こりゃーすごいわー!って言いながら聴いてたら本を読む手が止まってしまったくらいです。
色んなクラシックの曲が知れて楽しいですね。
観客と出場者のモノローグが長かったです。
ギフトの意味とは
ユウジ・フォン=ホフマンの推薦状の中に「カザマ・ジン」というギフトをお贈りする。とあるので、そこから来ていると思います。
天からの贈り物。それはギフトか爆弾か?
爆弾が爆発してしまったらどうなるのか?
もちろん実際に爆発するわけではなく比喩ですけれども、こういうちょっとした謎もあって面白かったです。
雨の馬の意味とは
栄伝亜夜の音楽的感性の一つ。トタン屋根に雨が当たる音が「雨の馬が走ってる」という表現になるようですね。
大雨だったり小雨だったりするとリズムが変わるからでしょうか。
第二次予選
宮沢賢治著の『春と修羅』を、現代音楽に作曲して二次に進んだ全員が弾く。
という内容でした。
しかし途中でピアニストが即興で弾く部分があり、そこは全員が違う音楽になると。
たいてい先人が作った即興(即興部分をカデンツァと言うらしい)を使うらしいのですが、その場で作曲して弾いたりする強者もいる。
栄伝亜夜は強者でしたね。毎回他の出場者の演奏を聴いてから作ってましたから。
作品とは外れた感想ですけれど、ごめんね。
宮沢賢治の『春と修羅』って読んで、真っ先に思い出した作品が本家の『春と修羅』ではなく、朝井リョウさんの『そして誰もゆとらなくなった』を思い出し。
そしてその中のエピソードであるところの『春と修羅』からもじった『腹と修羅』を思い描いた私を誰か殴ってください…!
歯あ食いしばれー!
ハイ!
お腹の弱い話を思い出しました。
本家の『春と修羅』もいずれ読みます読ませてください。
そして誰もゆとらなくなっただって出典は同じですからね。
一文字違うだけで、随分違うものよ…(白目)
『蜜蜂と遠雷』で印象に残った場面
月の光
二次予選の途中、マサルが『春と修羅』を弾いたあと、亜夜に余韻が残ってしまった場面が印象に残っています。
マサルの曲を消そうと自分のピアノを弾こうとするのですが、なぜかそこに現れる風間塵という。
あれかな。夜這いに来た間男かな?(違う)
全然ラブストーリーの場面ではないのですが、2人で連弾するんです。
ドピュッシーの『月の光』、ベートーヴェンの『月光』を弾き、『フライ・ミートゥー・ザ・ムーン』「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」とかもう月系の曲を連弾とか無駄にロマンチックすぎて恋人同士にしか見えないんだが。
古の文豪は女性に告白するときにこう言ったようです。
『月が綺麗ですね』。
こんなにロマンチックな場面なのに、ごめんね、新世紀エヴァンゲリオンを思い出した私を許して。
ごめんね。新世紀エヴァンゲリオンの曲としか認識してなくて。
でも好きです…綺麗な曲です。
これがこんなにロマンチックになるとは思いませんでした。
ごめんね、新世紀エヴァンゲリオンのエンディングとしか認識してなかった。
原点を調べて知るって、大事ですね(強引にまとめた)
映画でもぜひ見たい場面です!
第三次予選
ここまででもお腹がいっぱい…という感じの天才たちの戦いですが、三次まで残ると強者しか残っていないという現象。
ここでも風間塵が危うい演奏をして会場にいる観客たちが驚いてましたね。
いろいろやらかす子だよ、この子は!
親は見にこなかったのでしょうか。
明石の奥さんとか緊張して胃痛になってたけれど、風間塵の身内はそれ以上だと思うんだけれども…。
あれですかね、養蜂やってるからコンクールは見に来ないのかしら。
そういう記述は全然なかったからな。
見てたら胃痛になってたと思います。
本選
ここまでで、作中では【2週間】経っています。
何曲か聴いてわかりましたが、一つ一つの曲が長いので、弾くほうも聴くほうも大変だということ。
最後の本選の曲も聴いてみましたが、30分以上ある。
ピアノとオーケストラの合奏で盛り上がる部分はありますが、飽きずにずっと楽しませるというのは至難の業だな、と感じました。
実際、ラフマニノフ二番を聴きながら読んでましたが、飽きて次に行きましたし。
確かに、同じ曲が何度も続くと大変そう。
作中でも観客やコンテスタントのモノローグが長いなあなんて感じながら読んでいましたが、実際の曲を聴いてみると長くても仕方ないかな、と思います。
曲を聴きながら読むとすぐ読み終わってしまうので、モノローグの部分が足りないと思ったくらいでした。
面白かったです。
まとめ
- 蜜蜂と遠雷は国際ピアノコンクールを舞台にしたピアニストたちの物語
- クラシックのピアノに詳しくなれる
- 実際の演奏を聴くとより楽しく読める
- スポーツものではないが、トーナメント戦と似たところがある
- 審査員もピアニストも大変
優勝を競うので、スポーツ漫画にも似た「友情・努力・勝利」が詰まっていて楽しく読むことができました。
映画にもなっているので、いずれ見たいと感じています。
単行本は分厚いですが、読みやすいのでサクサク読めます。
気になった方は読んでみてくださいね。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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